ネットで資料集め

 ネットで調べた知識、と言うとどこか付け焼き刃な印象を抱くかも知れません。

 しかし、個人的にはネットだけでも充分な資料収集は可能だと思います。

 

 私も結構、ググった知識に頼る事が多いです。

 最近では「毒食グルメ」を書くにあたってお世話になりました。

 登場させると決めた毒物の詳細を調べるのは勿論、逆に「何か使えそうな毒物は無いか?」と言う目星を付けるのにも重宝します。

 アメリカでの寮生活を描いた「サイコシルバー」などはネット資料の塊と言えます。

 アメフトの試合、バーモント州の情景やニューヨークの町並み、サンクスギビングやホームカミングと言った行事ごと。

 正直、調査の労力だけを言えばサイコシルバーは一番手間をかけたかも知れません。

(余談ですが、バーモント州において、作中の時期には大体散っているであろう紅葉を敢えて満開に描写しています。事実よりも描写の景観を優先した典型例です)

 一方で「自己愛性こども拐い」に関しては、題材がかなりデリケートであるため、全てを断定的に書くとなると、それこそ専門家も納得するほどの地の知識が必要でした。

 あの作品の犯人のような特質の人間が確かに存在する事は、市井の立場から伝えねばなりませんでしたが、市井の立場から書いてはならない事は書いていないと思います。

 直接触れる機会のあったベックうつ診断と、自己愛性パーソナリティ障害の定義を、決して断定せず、客観的に並べた程度に留めてあります。


 調べる題材の性質を熟慮する。

(毒物や銃のスペックのように答えが明確な題材はともかく、政治や思想のような、立場によって答えの変わる分野については特に勉強をした上で慎重を期する必要があります)

 そして信頼出来る出典かを吟味し、比較検討し、間違いなく理解した上で使わなければならない。これは、例え市販の専門書だったとしても同じでしょう。

 ネットの場合、信頼性が低いとされるのは、市販の本より発信のハードルが低いため、ハズレ情報の数がどうしても多くなるからでしょう。

 鵜呑みにするのはいけませんが「ネット情報は安い」と言うのを鵜呑みにするのも考えもの。

 性質や使い方が違うだけで、媒体に貴賤はありません。

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