記憶喪失

※今回は、自著「毒食グルメ」の内容に一部触れるので、ネタバレが気になる方はご注意ください。

https://kakuyomu.jp/works/16816452219661193379

 これも、そんなに長くない小説です。

 

 

  

 記憶喪失、と言うのも、物語の定番アイテムだと思います。

 何故、記憶を失ったのか?

 記憶を失う前は何者だったのか?

 記憶を取り戻したらどうなるのか?

 ケースにもよりけりな所はありますが、少なくともこの三つの期待は保証される事でしょう。

 

 記憶喪失の謎と言うのは、それ自体がテーマと密接に関わる事が多いでしょうから、基本的に物語の序盤に起きるでしょう。

 私は今回「毒食グルメ」を書くにあたり、かなり中途半端な所で“ある結末”を迎えさせ、その直後に主人公を記憶喪失にさせて話を一度“リセット”しています。

 従来の記憶喪失ものと違って「主人公はなにも知らないが、読者は全てを知っている」状況を作ってみました。

 これにより主人公の、記憶を失う前に対する推理が的外れだったり、逆に的を射ていた時に、その先への期待を持って頂く事は出来ないかな? と。

 倒叙ミステリのような効果が出ないか、と踏んでいますが果たして。

 また、記憶を失ってもその本質がまるで変わらない、根の深さも表現しています。

 

 また、本来なら最後に持ってくるのがセオリーの“結末”を、ものの四話くらいで持ってきている構成上も、主人公を一度まっさらにして再スタートするのが、ダレない方法かなとも思いました。

 思うに、記憶喪失とは、その症状が一時的にしろ恒久的にしろ、その人を“別人”にする事では無いかと思います。

 先に述べた三つの期待に限らず、色々とトリッキーな使い方が出来る題材ではないでしょうか。

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