1000年

  2000歳の魔女、とか、3000年前の超古代文明だとか、千単位の年数が出てくる事は多いのではないでしょうか。

 しかし、これもまた、きっちり考えるとなかなかに難しい題材だと思います。

 人も文明も、10年あればかなり変化するものです。

 今から20年前にはスマートフォンなど影も形も無かったし、少なくとも20年前の私と言うのは性格的にも能力的にも全くの別人でした。

 それが1000年ともなると、どうでしょうか。

 人であれば、物質的な欲望や性急さがかなり緩やかになっているのでは無いでしょうか。特に、その年齢が不死によるものであるなら尚更。

 人生に対するスパンが大きく違うと言うことは、価値観も我々有限の存在とは違うと言うこと。それどころか変質し過ぎて、我々から見てもはや正気を保っていないかも知れない。

 少なくとも、1000歳の魔女が10代の少女と同じ恋愛観を持っていると疑問を感じます。

 存在しないもの、現時点で見通しすら立たないものを作り上げねばならない。これはSFに通じる難しさがあるかも知れません。

 社会にしても、西暦1000年と西暦2000年を比較すれば自明でしょう。西暦1000年と言うと、枕草子や源氏物語が確認された辺りでしょうか。もう100年くらい足し算して、十字軍の遠征でしたか。

 とりわけハイファンタジー系で、1000年前も1000年後も似たような魔法文明で成り立っていると、やはり首が傾きます。

 機械文明の無い魔法文明なら魔法文明で、その技術の有り様は全く違っている筈です。

 

 別項「ステータス・パラメータの是非」でも書きましたが、数字は格付けの可視化には効果的なのですが、使い方を間違えると逆効果でもあります。

 本当にその人物は2000歳であるべきなのか?

 ゼロをひとつ減らして200歳であれば、もう少し説得力のある描写にならないか?

 そして人と言うのは、何事も100年以上超えると、他人事になっていきます。自分が、まず生きていないわけですから。

 それは物理法則の違うフィクションの世界であったとしても、読み手に乖離をもたらすかも知れないのです。

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