辛口感想とか

 私が感想を書く場合、基本的には長所を評価する・肯定的な感想しか書きません。

 理由は色々ですが、まず短所の有無よりも長所の突出度合いの方に興味があるから。

 また、私の言葉で万に一つも相手の心が折れた場合、責任を取れないから。

 文の読みやすさ、読みにくさ等はその最たるもので、読んでいて苦痛なら読むのを止めれば良い。わざわざ他人の領分に踏み込んで、干渉する筋合いもない。

 自分に合わないからと言って、どこにも需要が無いとは限りませんので。

 思うに、辛口感想ほど、それ用の技術を要求されるものはない。出来ない人間がみだりに手を出すべきでは無いと思います。

 

 幸か不幸か、私の場合は読んでいただいた数の母数が少ないため、極端なダメ出しだらけの“酷評”と言うものを受けた事は今の所ありません。

 しかし世の中にはレビューを使ってまで酷評をしているケースもあるようで。(私が目撃したのは一例だけなのですが)

 あるいは「辛口レビューします」的な自主企画でもあったのでしょうか。

 当たり前ですが、ダメ出しを真摯に受け取る事は自分の為にはなります。

 しかし、ある面で正しい事を言っている人が、別の段落では間違っている事もある。

 その逆、ある面で間違えまくっている人だからと言って、その考え全てが間違いと言う事もない。

 ただひとつ言えることは、小説の感想に限らず「手段が目的となっている議論に意味は無い」事ではないでしょうか。

 ここで言う手段とは例えば、批判そのものとか、相手を言い負かす事とか、ですね。

 だから私は、個人的に最初から「辛口でいきます」と言う批評スタンスには懐疑的です。

 長所や短所が見える事とは、読む側が作品に対してあるがまま、真剣に向き合った結果に過ぎないと思います。

 その結果、辛口になる事もあるでしょう。

 また、自分の短所を洗い出したい作者には需要があるかも知れません。

 それにした所で、相手の助けとなる辛口と、マウント取りにしかなっていない辛口の違いは歴然でしょう。

 例えば「もっと勉強してください」などは、ありがちな言葉だと思います。

 けれど、それを言ったところで誰のプラスになるのか? と言う事です。

 勉強なら皆している、もしくは、初心者なら今からしていく事です。殊更、気分を害させたり心を折るリスクを飲んでまで、伝えるべき言葉でもない。

 先にも述べた通り、正しい人が間違いない、間違いのある人が全て正しくない、と言う事はあり得ません。

 短所に言及するにしても、同時に長所も言及するフラットなスタンスが、結局のところお互いに豊かで精神衛生上よろしいのでは無いでしょうか。

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