子供に見せて良いもの悪いもの?

 よくある話だと思われますが、幼少期に「死ぬ」だの「殺す」だのと言う言葉を使うと親に怒られたものです。

 その言葉の重みをろくに知らないまま気軽に使うべきではない。今となっては、その考え自体は非常に賛同出来ます。

 言葉が無軌道な人は、行動も無軌道なものです。

 しかし私の父の悪かった所は「何故なのか」を言って聞かせず、ただ「駄目だ」と封じ込めるだけに終わった事です。

 同じ理由で、アニメの金田一少年や名探偵コナンの視聴も咎められていました。いたずらに殺人や死体の描写されるものを楽しんで観るものではない、と。

 また、当時子役だった安達祐実主演のドラマ「家なき子」も目の敵にされていました。不幸な子供を見世物にしているとかと言う理由で。

 殺陣のある筈の犬夜叉はセーフでした。金曜ロードショーでやっていたアクション映画全般も。

 最近では知人のお子さんが、ドラクエをやっていて、戦闘中に敵を「殺す」と言い放った事でゲーム機を没収した話も耳にしました。

 そのあと返却したのか、何がいけないのか教えたのかは続報が無い為わかりません。

 親がいくら制御した所で、子供は学校等からそうした言葉を仕入れてくるもの。これは、防ぎようがありません。

 清濁、正しく飲ませる事を優先した方が、結果的に「軽々しく殺すと言う」子を出さずに済むのでは。

 凄惨な殺人シーンを見せた上で「これはいけない事だ。犯人は必ず報いを受ける」と教えるのも親の役目では無いのか。

 かつてのオウム事件もそうです。

 あまりにセンセーショナルで、歌などの、子供が触れやすい要素もあったが為に、あの当時の小学生にはエンターテイメントになってしまっていた。

 学校はそれを禁じるばかりで、何故いけないのかを教えない。

 被害者の方々を間接的に傷付ける、面白がっているつもりで居たら将来同じような組織につけこまれるかも知れない(良い歳してオウマーなどとやっていた人達こそがその末路な気がしてなりません)

 それらを学ぶ機会を、却って奪ってしまっている。

 頭ごなしな禁止しかしないから、説教が最初から聞き入れられない。

 

 ……と言うのは、自分が育てる立場になかった頃の考えでした。

 考えの大部分は今でも変わっていないのですが。

 ただ、最近、テレビゲームのスカイリムで敵の首を斬り飛ばしたのを(いつの間にか昼寝から起きていた)息子がじーっと見ていたのは流石にまずい、と本能で感じました。

 これ以降、この手のゴア描写があるゲームをやる時は、更に細心の注意を払っています。

 以前、息子がもう少し周りに頓着しない時期にダークソウルをやっていても、妻に怒られました。(メイスで殴って血がぶしゃー)

 自分が育児の当事者となると、やはり「真っ直ぐに育つように」とかなりの神経を使います。

 さもなくば、私の別エッセイ「ブラック職場脱出マニュアル」のパワハラ上司みたいな人間に育ててしまう可能性すらあります。

 リアルを見せるにしても、時期と言うものはあると思います。光線を喰らった怪人が爆発するだけの、特撮ものを経たりして。

 そう言う意味では、かの鬼滅の刃が保育園児にまで流行ったのは、正直良くないのでは、とも。

 流血と人体欠損のオンパレードなあの作品を、小さな子供にまで触れさせるのは無責任ではないかと。

 これは、扱っている大人達の、作品に対する無知も手伝ったのではと思いますが。

 実際に私の子供を預かっている保育園では、鬼滅の刃ごっこ禁止令が下りました。

 

 もう一つ、父と妻を見ていて感じた傾向。

 父はドラゴンボール、妻はドラクエ、FF、女神転生等に関してはほぼ反発を受けなかった事です。

 ドラゴンボールにも大概、流血や、時には人体欠損もあったと思うのですが……何となく「格闘技の試合」を見ている空気があるからでしょうか。

 ドラクエやFFに至っては、随分とグラフィックがリアルになった反面、派手な流血が無いからでしょうか。

 剣で斬ってもコロリと転がるだけ、光になって消えていくだけ、と言う有耶無耶な死に方をするからでしょうか。

 私は逆に、スーパーファミコン時代から、剣で可愛らしいスライムを斬る事に心を痛めていた口なのですが。

 FF7リメイクに至ってはほとんど実写としか思えないクオリティと、モンスターの死に様のギャップに、違和感を感じたのですが……。

(横道に逸れますが、主人公が大剣を軽々振り回す様にも最初は違和感、でしたが、これは主人公のスタイリッシュなキャラクター性と超人としての設定上、仕方がないとは思います)

 

 リアルな描写は、時にいろんな意味で弊害をもたらすようです。子供への影響しかり、先に述べたFFのような齟齬しかり。

 いつ、何を見せるべきか。

 今、不特定多数の子供に見せて良いのか。

 見たら、何を教えるべきか。

 それを過不足無く伝えるのも、大人や作り手の責任ではないでしょうか。

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