1つの作品に縛られる

 何度か引き合いに出してきた、某なろうでの自著「願えば叶う ロール」なのですが、現在、執筆を凍結しております。今後、続きを書くかはわかりません。

 少なくとも「覚醒す」の続編「覚醒(めざ)め」や、ほか構想のある作品より優先度は低いですし、それ以前に、こんな超長編を書くには私自身の(諸事情で小説が書けなくなっている)リハビリが必要です。

 作品自体が5年以上のブランクがあるので、書くとしたら白紙に戻して書かねばならないとも思います。

 この作品は五部構成で考えていたのですが、一部目は作品として完結しており、二部の半ばでエタっています。「俺達の戦いはこれからだ!」を完結と見なせるなら、一部目は、まあ読める範囲かも知れません。

 

 さて、シリーズとしては序盤も良い所で止まっているこの作品に、私は三年も費やしています。

 三年間、このロールと言う作品に縛られ、他の作品を書かなかったと言うことです。

 これまでの話で述べてきた通り、この作品で私の「魔法論」はほぼ完成し、モンスター一匹で都市壊滅をもたらすと言うコンセプトも得た。

 全体的な話の起伏、プロットにも自信がある。

 当時はこの作品こそが私に出来る最高傑作であり、書き切れば公募にも堪えるものだと自負がありました。(実際、一部目を応募して壮絶に玉砕しました)

 実際にネット公募で二次選考には残った事もあります。

 そんな作品で、何故ゴールまで突っ切れなかったのか。

 本業の仕事やプライベートで大きな変動があったりしたのも理由の一つではあります。

 しかし何より「自分はこの先、この作品だけの書き手で良いのだろうか?」と言う迷いが出た事が一番大きかったと思います。

 頭の中の構想では四部の開始まではあったのですが、ちょうど最も難しい局面でもあり、行き詰まりを感じた所で先に述べた迷いもあり、自然と書かなくなりました。

 こう言う所、私はプロになれなくて当たり前だったのかも知れません。

 そして今に至ります。

 今でさえ(ネット公開分に限定されるからでもあるのですが)このエッセイで取り上げているのはサイコブラックや覚醒すばかりになってしまっています。

 この二作に縛られている気がして、いくらか焦りもあります。

 確かに「最高のものを書いている」と言う自負はある程度必要です。

 しかし、いつかは今書いている作品と別離しないと、書き手としての能力は向上しないのでは無いでしょうか?

 その辺りの細かいことは、等エッセイの別項「色んなジャンルを身に付けた方が良いかも?」で述べた通りです。

 もしも今の私がゼロから「ロール」を書いたとしたら、当時とは比にならないクオリティのものを作れるでしょう。

 奇特な方は、なろうにて第一部までは完結しているので、ご一読頂いても良いかも知れません。とにかく文に無駄が多くて読みにくいです。

 四部以降のプロットを思い付くか自信がありませんが。

 

 未完結の超長編、それ自体は否定しません。

 市販の本でも十二国記など、何年もやっていて未だに終わりが見えないシリーズもあります。(一冊単位では何かしらの結末が訪れるので、ロールとはまた違うのでしょうけれど。長編集、とでも言うべきなのでしょうか?)

 しかし、未完のまま何百話と続いている話を見掛けると、どうしても「着地点、もしくは区切りは見えているのだろうか?」と心配になる事もあります。

 事実、学園生活を描く作品で、延々と運動会や文化祭の年間行事を順に書いて「前もこんな話無かったか?」と言う大作を読んだことがあります。

 こと、お金を取っているわけでもないネット小説ですから、その世界が好きでいつまでも書いていたい、と言うなら自由なのですが。

 

 ことファンタジー系においては、ロールを書いていた時点で、私の中の基礎はほぼ完成していたと思います。

 足りなかったのはやはり「一つの作品に縛られる事での、成長の停滞」に自覚的だったかどうかでした。

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