性描写の意味
今回は、人によっては下世話な話が含まれますのでご了承ください(余談。この「下世話」の使い方は本来誤用らしいですね)
そもそも“性行為”って何かと言うと、生殖の為の行為。これは、まあ当たり前ですね。
そしてもう一つは「原始的な獣性をさらし合う」精神的な側面もあると思います。
日頃どんな理性的・理知的な人間でも、ある程度理性のタガを外さないとそれを出来ないわけです。何せAVでやっているような行為も現実にしでかすわけですし(それを模したのがAVと言う存在なので、卵が先か鶏が先か、と言う話になりますが)
健全な関係において言えば、肉体の裸をさらすと同時に心の裸もさらしあっているわけです。いささか理想論だとは思いますが。
理性と本能の狭間にある行為であるので、判断ミスも起きやすいです。
人間の場合、次に「避妊をするか否か?」と言う選択肢が出てきます。
理性だけで言えば、子供が欲しい時以外はきっちり避妊すべきなのですが、意外と本能に抗う事が難しい時もあります。
ちなみに私の息子はハネムーンベビーでした。つまり、妊娠は結婚間もなくでした。
贅沢を言えば、もうしばらく夫婦二人の時間を持つ予定でした。(勿論、生まれてくれた事そのものは有難い事です)
それまでデキ婚と言うものが理解できませんでしたが、この感覚が婚約前からあるカップルが、きっとそこに至るのだろうな、と。
あと、私の友人の範囲では、デキ婚の夫婦ほど家庭が円満に動いているように思えます。まあ、元々デキ婚してしまうほどに仲が良いから、と思えば道理だと思います。
相手との子供が欲しい、と言うことは、一度は死ぬまで共存すると腹を括るわけですから。
だからこそ、浮気・不倫とは最悪の裏切りであり、自身の品性を畜生と同じだと自ら落としているのです。
小説においての性描写とは、最低でもそこを念頭に置かないと書くだけ無意味と考えます。
最初から性行為ありきの官能小説の存在を否定するのではありません。この場合は目的が明確だから良いのです。
問題は、話や人物のインパクトを与えるためにそれを描く作品も散見されると言うこと。
個人的に、性描写は読み手を選ぶリスクの高さに対して、作品を向上させる為にリターンを得るのが難しい材料だと考えます。
こと、一昔前からある“ハーレム”と言う要素が、私には理解しがたい。
確かに、作風次第では様々な読者の需要に応じて、幅広い女の子や男の子を出さなければならない。そして、平等に扱わねばならない事もある。それはわかります。
けれど、子供まで作って、しかも本妻がそれをほとんど葛藤もなく受け入れる話などを読むと、流石に違うと思ってしまいます。
ハーレムものに限りませんが、避妊の有無をおざなりにするケースも多い。
「植物図鑑(著:有川浩氏)」において、ムードが最大に高まった時に主人公二人が性行為を決意します。
しかし家には元カレの使っていた避妊具しかなかったので、それを嫌がった彼氏がコンビニへ買いに行く描写をわざわざ入れています。
当然。テンポが犠牲になるので映画版では省かれていましたが、それを見た妻が、
「ゴムは着けないの?」
と指摘。
やはり、みんなちゃんと見ているのです。
とにかく。
ハーレムをやるなら、一夫多妻制の国ではどうしているのか、中世で妾を取る貴族の家がどうなのか、勉強した上で違和感なく落とし込んで欲しいと思います。
恐らくそうした価値観の土地では、本妻は中途半端に嫉妬したりしないはずです。
そして、性描写というものも、戦闘のそれと同じでかなり奥が深い。
いや、戦闘以上に必要な情報を過不足無く与え、直感的に感じさせなければならない。
サイコブラックと覚醒すばかり引き合いに出して来て、いい加減胃もたれになりそうだったので、他の作品の事も思い返してみました。
運のゲシュタルト崩壊と言う作品で、私は主役の男女を性行為にまで至らせています。
https://kakuyomu.jp/works/1177354054884950276
何故かと言うと、先に述べた「獣性の共有」と言うプロセスから、一組のカップルを描ききるには必要な通過儀礼だったからです。
一度性行為を行った相手とは、それまでとはまるで違う絆が生じます。この作品でも、初の行為の後から、二人の間で普通に下ネタが飛ぶようになります。
そうした絆が最後まで発展したのが、恐らく結婚と言う運命共同体となる事なのでしょう。
そして、出会ったばかりの初々しさは永久に失われるのです。恋愛の終焉とは、破局や失恋ばかりではないと考えます。
もっとも、運営から削除されては困るので、これでもだいぶマイルドに押さえましたが……。
この話の女主人公は、ヒロイン描写が苦手な私にしては可愛く、読者にもモテそうに仕上がったと思います。
知的で可愛らしい女の子でも、しかし行為に及ぶとなると(誤解を恐れず言うなら)醜い側面を見せるもの。
綺麗な部分ばかりではないのが、生きた人間と言うものだと考えます。
そしてその部分は、やたらと表に出さないから価値がある、とも。
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