モンスター
これも超個人的な感覚の話になりますが、
「モンスターとの戦闘や逃走劇は、一戦一戦が死ぬかも知れない物であるべき」
と考えます。
まあモンスターに限らず、人間と人間の戦いや、殺人鬼からの逃走劇でもそうだと思うのですが。
その原点は、かなり昔に某なろうで投稿した「願えば叶う ロール」と言うシリーズにあります。(実質エタっているので、あまり勧めにくいのですが)
これの更に原型となる作品を知人に読んでもらった所、主人公たちが道中で遭遇したモンスターとの戦闘を、
「なんだか野犬を追い払ったのと大差無い気がする」
と評されて目が覚めました。
そう、近代の小説におけるファンタジーって、どうしてもドラクエとかのゲームめいた要素が多く含まれがちなのですが、
「雑魚とのエンカウント戦」ってそんなに読みたいものじゃないんですよね。
そして私はこの作品におけるモンスターの立ち位置を「万人共通の人類の敵」とし、一匹現れただけでも都市は戒厳令下に置かれ、世界最強のエリート精鋭部隊が出動し、一種の災害と同列に扱われるほどの存在にアップデートしました。
(そしてそこに「最強の戦士」「エリート部隊」が有難がれ、優遇される意味が生まれると思います。何せ、人類共有の生命線なのですから。
その上で更に、モンスター相手に“比較的”余裕で勝利できる人材が居たとしたら……そこに「天才」の意味も生まれます)
作中、人類最強とされるトップランカーの戦士や魔術師が、まともに部隊を組んで部下と連携を取った上でも、下位ランクのモンスターと戦って明日がある保証はない。
ここまでやって、モンスターは驚異たり得ると思ったのです。
そして書き直したものを読んだ同じ人物から、
「君の小説の世界には行きたくない。明日、最低でも腕とか無くなってそう」
と言う感想を頂くに至りました。
雑魚との戦い全てがボス戦。(通じる方には「ダークソウルのボスキャラが雑魚として沸く」と思って頂いても良いです)
いつ、誰が死ぬかわからない。
だからこそ、殺陣に緊張感と言う物が生まれるのだと思います。
ここまでやってしまうと逆に「人類がいまだ滅びず、文化圏を真っ当に維持できている」事に対する裏づけも必要になってくるのですが……。
何だかんだで、人間は強かなのではないかと、それを書いていて思いもしました。
日常的にダークソウルみたいな死にゲーを突き付けられたとしても、非凡な人間が攻略法を確立し、どうにか人類は維持される。そんな気がします。
その点、今、話題の鬼滅の刃の終盤は良く描かれていたと思います。本当に誰が死んでもおかしくない状況を、ジェットコースター的展開の中で見事に描き切ったと思います。
「願えば叶う」の思想は、ここで何度か挙げた自著「陰キャ、覚醒す」
https://kakuyomu.jp/works/1177354054887357952
にも受け継がれています。
主人公は初期状態からして息をするようにビルを蒸発し得る魔法使いになりますが、出て来る“魔物”もそれに釣り合うインフレ具合になっています。
むしろ、内面が現代日本人に過ぎず、命のやり取りなんてした事が無い分、メンタルの面でも不利です。
貴方は果たして、最強の魔力を得たからと言って、ゴジラと正面から戦う勇気が出るでしょうか?
また同作品で主人公がドラゴン(ファンタジーにおける驚異の筆頭)に遭遇した時、なまじファンタジー世界に造詣のある彼が一瞬で匙を投げかけた時の、
「ドラゴンだ、もう駄目だ」
と言う独白は自画自賛ながら結構、出来の良いブラックジョークだと思いました。
主観的に好きだからと言って、その人物が明日生きて居る保証はない。
それが命をかけた“死闘”という物ではないでしょうか。
その緊張感が無ければ、殺陣を見る価値は半減すると思います。(無い、とは言い切りません。暴れん坊将軍のように、主人公が勝つと分かり切っていても面白い殺陣はあるので)
その事実と「重要な人物を生存させなければ話が続かない」と言うジレンマをどう乗り切るか……これもまた難しい所です。
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