ネット小説を読まない人

 昨日、妻と話していて、危うく忘却の彼方に流しそうになった話題です。

 いわく、

「私がネット小説を読めない理由」

 読まない、と、言うよりは読めない、と言う方が近いようです。

 彼女は恐らく、世の中の平均よりは本を読み、ネット小説で大半を占めるライトノベル系にも造詣があると思います。

 それまで私は、紙の本でないと読めない、手触り云々と言う懐古主義から来るのだろうと、さほど重く受け止めませんでした。

 事実、本人の口からそう聞いていたので。

 しかし、昨日の話をよくよく聞いていると、思いの外有意義な意見だったかも知れません。


 とりわけスマホで読む場合、文字の表示される面積が狭く、ページを送る作業でまず体力を使うと言うこと。

 そして、伏線や読み落としで前のページと比較したいとき、紙の本なら前ページへの復帰が直感的に簡単だと言うこと。

 彼女は十二国記の熱狂的なファンなのですが、文体が重めで、難しい漢字の人名も多いあの作品をスマホで読めと言われたら無理だろう、と言っていました。

(人名に関しては、私なら毎回必ずルビを振る程度の努力はしますが)

 どれだけ好みに合い、クオリティの高い内容であったとしても、妻にネット小説は無理なのです。

 妻のような人を相手に読んでもらう場合、ネット小説では、重厚な物語ほど不利になるという事です。

「その点、一時期流行ったケータイ小説とか、絶妙だったよね」

 と言うのも妻の弁です。

 普段、本を読まない人間の方が、却ってネット小説やケータイ小説に適応しやすいのでは、と。

 かつてサイコブラックを読んでもらう時も、百数枚もプリントアウトする羽目になりました。

 何気にこれは、いちネットの小説書きとしては一つの問題だと思います。

 持論ですが、小説とはその性質上「読まれなければ自己満足に終わる」と考えます。

 だから、アクセス数を稼ぐ事、そのために各所で営業活動をするのは必要な努力とも思います。

 とは言え、組織票で数字だけを稼ぐやり方には懐疑的ですが……。

 私の作風では、ネット小説では不利かも知れない。

 どうすればもっと読まれるのか……考えさせられました。

 

 普段読まない人ほど、意外な意見を持っているようです。

 そうした人達と話すのも、上達の道かも知れません。

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