第2-1話
初めての戦闘によりおのおのの課題を見つけ、それぞれの能力の低さに愕然としていた。
「なぁ、おいら一撃も与えられなかったよ。」
「おれはゴブリン一匹倒したぞ!…」
ガレルの威勢の良い言葉には力が入っておらず、空元気でドカドレに接している。
「おい、お前は1匹も倒してない。おれがお前と同じタイミングでゴブリンを攻撃しただけだ。」
空元気のガレルにシータは躊躇なく追撃を浴びせた。
「えっ…やっぱりか…」
ガレルはなんとなく自分が殺していないとわかっていたのだろう。だけどそう考えないと自分のプライドが保てない、そう感じたのだ。
「やっぱり、お前は戦士にはなれない。お前は魔法使いだ。」
シータは再びガレルに追撃をくらわせる。
「でも、おれ、前で戦いたいんだ…」
「おまえじゃ、無理だ。パーティーの邪魔になる。もしそれでも戦士と言い続けるならこのパーティーは3人だと思って考える。」
「おいっ、それって…」
シータの辛辣な言葉に、いつもは強い言葉を使うレリスもガレルがかわいそうに思えた。でも、シータの言っていることに言い返すほどの考えを何も持っていなかった。
「これからバルディ教官による訓練が始まるだろう。そこでパーティーごとに様々なことをする。でも戦士のお前はいらない。だから戦士のままでいるなら訓練に来る必要はない。」
最後の言葉を残して、シータは家に帰っていった。
「じゃー、私たちもそろそろ帰るね。いくよドカドレ!」
「じゃー、おいらも…」
そして、ガレル1人になった。
(おれは何も出来ないのだろうか…)
この時のガレルの背中はなんだかすごく小さかった。
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