第1-3話

スパッ


空気を切る音と共にゴブリンの首は宙を舞った。


「おいおい、雑魚のくせに威勢だけは良いっていう、弱い犬ほどよく吠える方式のバカがいるよ。」


 少年は痰を吐くようにガレルに言葉を吐き、そのままゴブリンの持っている剣を持った。


「こういうやつは戦死したことにしてこの世界から消えたほうがましだ。消えろ」


 ゴブリンから奪い取った剣をそのままガレルに振り下ろす。


 スパンッ


 少年の腕が宙を舞った。


「おい、はやくきえろ。」


 シータが少年の腕を切り落としたのだ。そしてそのまま少年に殺気を向け続ける。


「おい、これは立派な犯罪だぞ!この世界だからってなんでもやっても良いと思ってるのか?」


________

 そう、この世界、つまりはパラドレスク内において人を殺すことは犯罪であり、現実世界同様に懲役などがある。それはこのゲームを一定年数利用できなくなったり、最悪の場合は一生利用できないことがある。

 逆にパラドレスク内において現実世界の死亡以外の理由で死んでしまった場合(たとえば他殺など)はそのアカウントは利用できず、新たにレベル1の状態のアカウントを利用しなければならず、アカウントを作るためのお金など初回以降の申請には1000万ほどかかる。

 つまり、一般人にとっては始めることはゲーム機の購入の4万程度で済むが、パラドレスク内の死亡により再びアカウントを作ることは無理に等しく現実世界のみで残りの人生を歩むことになる。

 それに加え、多少の怪我ならパラドレスク内の通貨を利用して治すこともできる。

 パラドレスク内の通貨は現金に還元することも可能で、またその逆も可能である。

________


 犯罪と言う言葉を気にもせずにシータは少年を睨み付ける。


「おまえも殺そうとした。」


「おい、やめろシータ。一応おれの命を救ってくれたんだ。」


 ガレルはシータの前に立ちシータを諭した。


「金は払う。だから許してくれ。」


「チッ、わかったよ。」


少年は不服だったようだが、シータに殺されるよりはましだと考えたようだ。


「なぁ、最後にお前の名前を教えてくれよ。」


「おれの名はブレイド、将来この世界を統一する伝説の男だ。」


 と、臭い台詞を吐きブレイドは立ち去った。シータはあまりにもイタい台詞に笑いそうになったが、ガレルが真剣な面持ちのため雰囲気を壊すまいと必死にこらえた。


「ブレイドか…」


 そしてガレルたちのゴブリン討伐は終わり、リトルスは守られた。

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