第1-2話

「よし、では今作ったパーティーでこれからは共に訓練にあたってもらう。そして今日からお前らの教官を務めるバルディだ、よろしくな。」


 バルディ教官の大きな挨拶に、ガレルは興奮をおさえられずにいたが、シータはそっと耳をふさいだ。


「バルディさんーーー!」


 遠くの方からバルディ教官を呼ぶ声が聞こえた。声の主は馬にのり、白いローブを身にまとっている。胸には鳥の羽と葉っぱのマークが付いている。


「おう、ビルか。どうした?」

 

「それが、ここリストルにゴブリンが襲撃に来ているのです。数は500。」


「なるほど、そして今は多くの兵士たちもいないからな…では、300は町に残っている兵士たちに任せる、そして残りの200は新たに入ってきた新人たちにやってもらおう。」


 バルディ教官は大きく言い放つと、広角を上げ新人たちに告げた。


「おまえたちはこれからこういう状況に陥ることになる。そしてこれが最初の実習だ!パーティーを作りゴブリンたちを向かい打て。」


 バルディ教官の話を聞き終えると同時にガレルとシータは武器庫に向かった。そして実習用の初級武器を揃える。


「おいシータ、もう実習だってよ。これで成果あげたら見習いなんてやらずに兵士になれるんじゃねーか?」


 そう、小生意気に言いながら、ガレルは戦士用の武器と甲冑を着ける。シータもそれに気づいていたがあえてなにも言わずに自分の装備を整えた。



「なぁ、おらこれで死ぬとかねーよな?」


 弱気なドカドレは入念に装備を整え、剣を持つ手は震えていた。


「あんたバかじゃないの?相手は最弱のゴブリンだよ?」


 レリスはドカドレを鼓舞するも自分の手も震えていた。

 そしてこのパーティーはゴブリンのいる東門に向かう。東門を通りすぎ2kmほど先で戦闘が行われているらしい。そして、東門についた100人ほどの新人はバルディ教官と共にその戦場へ向かった。

 ゴブリンを目の前にした新人は腰を抜かしログアウトするものもいたがガレルのパーティーは誰一人逃げなかった。


「では、新人たちいくぞ!」


 バルディ教官の声で一斉に戦闘が開始された。

ガレルのパーティーにはゴブリンが2体現れた。1匹はこん棒だが、もう1匹は剣を持っている。


「よっしゃ突撃!」


 ガレルは自分の声と共にゴブリンにぶつかっていった。


 プスッ


 ゴブリンの体に何かが刺さったような刺さってないような音がした。


「おい、なんで効かないんだよ!」


ゴブリンも不意を討たれ、一瞬硬直したが、すぐさま反撃をしてきた。


「危ない!」


 ドカドレがゴブリンのこん棒を盾で防いだ。そしてレリスによる初級炎弾がゴブリンをノックバックした。


「おまえ弱すぎだろ。本当に戦士なのか?」


 レリスの言葉はガレルには届いていなかった。


「もういっちょ!」


 プスッ


 また再び、気の緩むような小さな音がなった。


 スパンッ


「バカか、早く殺せよ。」


 ガレルの雑魚攻撃に合わせてシータがゴブリンの首を切り飛ばした。しかし、ガレルはシータのアサシン特有の速い動きが目で追えず自分が倒したように錯覚した。


「よっしゃ、次だ!」


 プスッ


 ブスッ


 ガレルの攻撃に対しカウンターを狙ったゴブリンの剣がガレルの太ももを貫いた。そしてガレルの頭を狙うもう一撃をドカドレが盾で防いだ。


「大丈夫か?ガレル君」


 ドカドレの一瞬の隙を突き、ゴブリンはドカドレの足を払った。

 シータは援護しようとしたがアサシンの技は熟練度が低く使った後一定時間その技の使用が出来なくなる。

 そしてそのままゴブリンは次の一撃に…

 



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