第1-1話  

「満15才の少年・少女には戦争に参加する権利を与える。参加するかどうかは自由だ。」

 

 村の掲示板に書かれた文字を何度も読み返し目を輝かせる少年がいた。それがガレルである。


「今日、俺はついに軍にはいることができるのか」


 目を輝かせるガレルをよそに幼なじみのシータは顔色ひとつ変えずにごみを見るような目でガレルを見ていた。


「ハヤクシロ、カス」


 シータの感情のない言葉にガレルは背筋を伸ばし、シータのあとをついていった。

 5分ほど歩いたところだろうか、そこには大きな門があり、その中には大勢の少年・少女がいた。


「いいか諸君。来たものから前に積めて。あと少しで始めるぞ。」


 大人の人の大きな声に興奮を覚え先頭へ向かうガレルをよそに、シータは1番後ろのなるべく人がいないところに腰を下ろした。


「よし、集まったな。まずは能力の検査だ。」


 検査を行う場所は後ろにあり、シータが1番最初に受けることになった。


「まずはこの指輪んはめて、的に向かって手を出し、そこにめがけて気を放ってください」


 シータの手からはなにもでなかった。


「では、あなたは魔法使いではないようですね。次の検査に進んでください。」


 シータの検査を見ていたガレルはいつの間にか列の先頭に並び、シータの次に検査を受けた。


 バンッ


 ガレルの手から炎の玉がでた。


「あなたは魔法使いですね。では検査は終わりなので次の場所に移動してください。」


 ガレルは拳をシータに突きつけて、まるで自分はシータにできなかったことができたと言いたげな表情をしていた。


(こいつ、魔法使いじゃなく、戦士になりたいって言ってたのに、バカだな。)


 シータはガレルを哀れに思ったが本人が気づいてないので無視し次の検査に進んだ。


 シータは次の検査でアサシンと判定された。



 検査は午前中に終わり、午後からは4人のパーティーを作ることになった。


「おい、俺と一緒に組もーぜ」


 ガレルの誘いをシータは受けた。


「シータ、おらも仲間に入れてくれよ。」

 

 検査を待ってる間、無口なシータに仲間意識を持ち、シータの隣にずっといた、臆病なデブで戦士のドカドレも仲間になった。あともう1人は特に宛もなく周りを見ていると、一人だけ完全に別格の殺気を持ったプライドの高そうな女がこっちをずっと見ていた。


「おまえ、パーティーに入るか?」


「あん?入ってくださいだろ?」


「あ、入ってください。」


 一瞬、空気がよどんだが、おもいのほかガレルがバカだったためなにも起こらなかった。そして、ヤンキーのような殺気を放つ女子、魔法使いのレリスが仲間になった。


「あれ?これだと前衛3人と、後衛1人になるな。」


(ん…?)


 ガレル以外の3人は同じ表情を浮かべた。


「だって、俺とドカドレが戦士、シータがアサシン、レリスが魔法使いだろ?」

「てなわけだから、シータが後衛っぽく振る舞っとけよ。」


(こいつ、自分が戦士だと思ってんのか…)


 3人は再び同じ表情を浮かべた。だが、ドカドレとレリスはもしかしたら本当に戦士なのかもしれないと思い特になにも言わなかった。そしてシータも特になにも言わなかった。

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