修学旅行の途中で異世界へと飛ばされた高校生の月影八雲(ヤクモ)は、ある重大な秘密を抱えながら、転移してきたクラスの仲間と共に魔王へと立ち向かう。
転生するまでの流れがテンプレのお約束ではなく、世界背景が丁寧に描かれており、それは転生後の展開に大きく影響するような深い意味を持っています。ありきたりな異世界転生ものに飽きた方は、是非読んでいただきたいです。
主人公のヤクモはとても聡明であり、周りを立てるのが上手いのですが……それが行き過ぎて少々自己犠牲が過ぎるところはあります。彼は人を欺くことを得意としていますが、それはいわゆる優しい嘘というものであり、そんな彼に救われた人は数知れず、男女問わずに彼を助け返してくれます。ハーレムとばかりに集まってくる魅力的なヒロイン達も、まさに彼に救われ、その良さに惹かれたのであって、誰もが納得し得るものでしょう。
見どころと言うと、やはりヤクモの行う広い意味での頭脳戦でしょうか。状況分析が得意な彼が、仲間の持ち味を活かせるように指揮したり、様々な風変わりなスキルを組み合わせて先手を打ったり、純粋なバトルで相手を上手く打倒したりする様には、とてもワクワクさせられます。
開幕のスキル習得アナウンス連打で一歩引いてしまう方が居るかもしれませんが、まずは次話にスキップして気にせずに読み進めていただきたいです。間違いなく面白くなりますので。タイトルの回収にはだいぶかかりますが、明かされた時にはナルホド!と嬉しくなること間違いございません。ぜひ、皆様もご一読ください!
主人公ヤクモは育った環境からか他者を洞察する力に優れている。そして誰かに心配事があれば関係を『調律』し和を為す……。
そんな優しさと思慮深さを持ったヤクモは異世界へと転移……。異世界に辿り着いたヤクモは持ち前の判断力で一緒に転移させられたクラスメイトや大人達を守る為に行動を開始する──。
一見、異世界テンプレ勇者モノの様ですが作者さんの技量によりありきたりでない飽きさせない作品に仕上がっています。主人公のスキルなどもオリジナリティ溢れるもので、チート部分はあるものの勢いだけのご都合とも違った演出になっています。
キャラの設定がしっかりしているので会話のシーンなどではかなり楽しく読ませて頂きました。
物語は一旦完了となっていますが、まだ続きが読みたくなる……そんな異世界ファンタジーもの良作です!