冗談禁止の異世界転生

お望月さん

轢ーーッ!!

轢ーーッ!!


目を覚ますと俺は生成りの貫頭衣姿で寝台に身を横たえていた。

上半身を起こす。トラックに轢かれて即死したはずだがダメージはない。無機質で清潔なアイボリーホワイトで統一された室内には装飾がなく壁は継ぎ目なくつるんとしている。


目を覚ましたようね。

ここは「生真面目タウン」冗談禁止の世界よ。


俺の頭に直接"声"が響いた。


あなたは生前にあまりにも冗談を言い過ぎました。

そのカルマを浄化するため今生では冗談を禁止します。


胸に手を当てるまでもなく心当たりはいくらでもあったので俺は素直に頷く。つるんとした壁の一角に青く光る長方形の線が走り扉が形成された。


さあ、新たな人生を送るのです。

この扉を抜けた先に新たな世界が……


俺は寝台から飛び降りると垂直ジャンプを繰り返す。

そして走りながら壁に体当たりを始めた。


お待ちなさい……


制止は無意味である。

壁に体を擦り付けながら全速力で斜め移動をする。


お待ちなさい……


角だ。部屋の角を狙ってジャンプしながら体当たりをする。

壁に体当たりをしながら空中で身体を角度へねじりこむ。


おい……!


次は走りながらしゃがみ姿勢でジャンプだ。

この勢いで壁や天井に頭をぶつければやられ姿勢になるか?どうだ?


……。


成功だ!

空中やられ姿勢が角度の先に刺さり、俺は完全にした。


……。


どうしよう。


……。


◆◆◆


異世界転生社転生OP部。

新人転生オペレーターのガブリエルしず子(入社一年目)が嘆く。


「センパぁイ!!やっぱアイツだめです!」


・チュートリアルスキップ

・イントロダクション不要

・対話禁止

・交渉不能

・転生室内に角度禁止

・強制転生を推奨

霊的削除イレースを提案


被転生者NO#1000893の備考欄に、次々と申し送り事項が記載されていく。

転生OP部 ウリエルひろし(入社百二十年目の若手)がしず子に追従する。


「あいつはクズです。このまま霊的削除を実行するべきです」


転生OP部 大部長ミカエル隆(入社千二百年目)

「待て、として使えるかもしれん」


「は?」


「しず子と共にやつを捕縛せよ」


「「えェ~~~~????」」


(おわり)

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冗談禁止の異世界転生 お望月さん @ubmzh

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