第8話 意外となんとかなるもんだ
毎日せっせと仕事してなんとか納期3日前にハンカチが23枚仕上がった
やりきった達成感で小躍りしたい気分になる
猫はかなり紫一色に近く見えるようになってきた
今日は肉屋が売りにきた干し肉をシチューにしてお祝いでもしようかな
猫が最近戸棚を自由に開けてしまうので肉の保管は引き出しに入れるようにしてる
なぁーん、かりかり
甘えるような鳴き声をだして引き出しを引っ掻いて
肉を要求している
もう昼近くなってきたしそろそろご飯の支度でもしますかね
そんなことを考えてたら玄関の扉がノックされた
「もうお昼だけどご飯大丈夫ー?」
「マーサ、鍵かかってないから入っていいよ」
返事をしてすぐキッチンまでマーサがやってきた
「調子はどう?お昼まだ食べてないなら一緒に食べましょ?」
「今から何か作ろうかと思ってたからたすかるよ」
「猫ちゃんに鳥のササミの燻製ももってきたわよ」
バスケットの中を手探りでゴソゴソとササミを探して猫の方へ差し出すのが早いか飛びつくのが早いかぐらいの勢いで猫は食べ始めた
「相変わらずふわふわねぇ。まだここにいるってことは何も変わってないのかしら?」
「紫と黒の縞模様から紫一色に近くはなってきてるんだけど、まず、紫ってねぇ」
「なかなか聞かない色だわ
猫専門で調べてる人がいたら分かるかもしれない
けど、私は知らないわね。
母さんにでも聞いてみる?それはそうと
お昼にしましょ」
昼食を済ませてから納品分のハンカチを持ってマーサの家に向かう事になった。
マーサの家は我が家から歩いて五分とかからない近所だが久しぶりに見ても大きな家だな
二階建てが一軒と物置と馬、鶏、牛の小屋がある
窓から見えたのか一階の窓からマーサの母のグレイスが手を振っている
「グレイスおばさんこんにちは、
ハンカチ間に合いましたよ」
少し声を張ってハンカチが間に合ったことを伝えると、まだ距離があるのによく通る声でお茶のお誘いしてくれた
「あらーまにあったのねえぇー
入ってお茶飲んできなさいなー」
「はーい!おじゃましますー」
腰高の塀の横を歩いてアーチを抜けると染色用の花や野菜などを植えている畑と庭がある
季節が移り変わりそうな気配を花の種類から感じつつ玄関に到着した。
たまには外に出ないと季節感がわからなくなっていけないなと思っていると
玄関前で靴箱に靴を入れているとマーサがスリッパを出してくれる
さすがマーサ!いつも気がきく優しいなぁ
優しさを感じるスリッパを履きつつ後ろを見たら
猫がついてきていた
なぁん
ひと鳴きして足元で足の間をぐるぐると回って歩いている
「グレイスおばさん、ごめんなさい猫がついてきたんだけどいいかな?」
大きめの声で室内まで聞こえるように伝えるといいわよーと聞こえてきたのでお言葉に甘えて抱っこしていく事にした
「ねこーだっこでいこうね」
なぁん
言葉の意味は理解できてるのか分からないが
おとなしく抱っこされてくれている
玄関の廊下を少し歩いたところにあるティールームでグレイスとマーサがお茶の準備をしてくれていた
猫の手 このすきま161 @konosukima161
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