第22話
Cap020
「何か衝立はないのか!?」
普通であれば大学のホールか会議室を使い、会見は行われるはずが、旧校舎もプレハブ校舎も、この数日で大半が破壊されていた。
こうなると、何処か他の場所を貸りて会見をしなければいけないが、もう既に悪い噂が飛び交って、何処も場所を賃してくれない、まさに“門前払い状態”に学長は陥っていたのである。
仕方なし、荒れ果てた校内で会見を開く事にしたが、周りは瓦礫の山。横を見れば、自分では起き上がれない巨大なメカゴジラである。
学長は、せめて何かでそれを遮ろうと、職員に必死で指示を出している。
「パーテーションは?メカゴジラの下?こいつ、退けれんのか!?」
とにかく必要な物は、壁である。この瓦礫の山と会見場を遮る鉄壁の壁である。
「ありました!」
「そうか、よくやった!時間がないから、それを瓦礫が見えないように、ちゃんとセットしておいてくれ!私は着替えて来る。あぁ、あと、こいつにはブルーシートを被せるんだぞ!」
そう言うと、学長は、メカゴジラを足で蹴飛ばした。
「あっ、痛っ!これ、硬っ!くそっ!」
会見開始時間が、やって来る。
着替え現れた学長は、えらく騒がしいマスコミの群れに気が付き、そこを掻き分け会見場の真前に出た。そこには、大きなコロナ用の透明アクリル板が衝立とし置かれているのである。
「いやぁ、学長さん。度胸ありますね」
「…まぁ、透明性が大事ですから」
ならば、そもそもアクリル板など必要ないのである。
Atom2021 黒い綿棒 @kuroi-menbou
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。Atom2021の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます