魔道星戦-星間戦争にパシリ三下が召喚されて勇者とか呼ばれてもマジ困るんよ。でも超強美少女に可愛い魔女、小悪魔性格の竜に囲まれちょい嬉しい
46話 今後の方針決定! 移民の時使った岩窟って奴も取りに行くそうっすよ
46話 今後の方針決定! 移民の時使った岩窟って奴も取りに行くそうっすよ
「推測はできますがー。敵の思考方法も判らない。版図や技術も」
ファナ艦長が溜息をつき、手を組む。
「ないない尽くしですが、今後の方針は一応決めてあります。付け加えるべき方針や、意見があれば具申お願いしますー」
会議前に一応念話来てたな。それに対して意見を考えておけ的なのが。
一 救助活動の継続
二 敵の本星探索
三 後ろに居る異星知性との接触。
四 楽園本星へ帰還し異星人の来襲を知らせる
……だったかなぁ。
「では、わたしから」
カーナが小さく手を上げた。
「星系内にはまだ結構な数の居住窟や鉱山で生存者が確認されている。おそらくは猿の言った補給問題で自滅すると放置されていると思われる」
カーナが厳しい顔で皆を見回す。
「我々が世界樹の若木さえあれば、生活圏を維持可能なことを知られるのも
危険かもしれない。なるべく敵に情報は与えない。救助と破壊を同時に行使を提言する」
うわー。カーナきっついな。だが理屈は通ってる。けど従わない奴多そうだけども。
「嫌がったらどうするの?」
王女が疑問を口にする。
「王女の勅令を頂きたく」
「強制ってことね」
カーナが厳しい顔で頷く。
王女は少し考える様子だ。
「会議で決まれば、勅令は出すわ」
さすが長耳族王女、七十歳。真面目になれば大人な判断と喋りだ。
「有り難く」
ファナ艦長が皆を見回す。ジンブルムも皆も頷いている。
「異論はー。無いようですね。私も賛成ですー」
「では私からも」
ジンブルムはファナ艦長の方を見る。
「敵の本星探索は
本星探し当てたら
「本星探し当てたら
頭の後ろで手を組みながらテルルがブッ込む。凄ぇ。ある意味憧れる。プリカもごま塩頭のバリガも驚愕である。
ジンブルムはテルルを横目で見て軽く鼻を鳴らすと王女へ顔を向ける。
「危険な任務ゆえ、自由裁量の勅命を頂きたく」
「いやよ」
王女はプイッと横を向く。
おう、故郷を破壊され、親を殺されてるのに抑制が良く効くなぁ……こちらも凄い。
「そうですねぇ、ここは第三者、猿殿の意見でも聞きましょうか」
またもやファナ艦長の無茶振りである。本日二度目ぇぇぇ!
ファナ艦長。勘弁して下せえ!……とおいらは心の中で叫ぶ。
助けを求めるようにカーナを見るが、カーナもおいらの意見を聞く気満々な態度である。
ジンブルムの視線が凄いが、腹を括っておいらは意見する。
おいらの後ろにはカーナが居るからな! 強者の後ろ盾のついた三下ほど強気な奴はいねぇ!
「単艦での積極的な敵の本星探索は霧の中で蚊を探すようなもので現実的じゃない。
敵に鹵獲される危険も考えればしない方が良い。機械の後ろにいる異星知性は機械に一切生命の痕跡がないことを見ると、数が極端に少ないか、厳重に守られた拠点だけにいると思う」
「都市かそれに類するものへの攻撃が接触の機会という訳か」
カーナが腕を組みながら横目でおいらを見る。
おいらは頷く。
「我々もやられたのだ。そうなるのは当然だろう」
そうなると、接触というか死体を見るだけだけんども。
おいらは目を瞑る。やられたらやり返せ。これも道理ではある。
むしろこちらの方が正しいと言えるのかもしれん。
……と、目を瞑ったおいらの眼前に映像がうっすらと映る。
そしてそれを哀しそうに見つめる幼い少女の瞳……いや、少女ではない、そのように見える何かだ。
だが哀しみを感じるのは間違いない。そして暖かい慈愛をおいらは感じ……そして唐突にそれは消えた。
「え、なんやこれ!」
「どうした? 猿」
「惑星を粉砕する
幼い娘という言葉に皆が反応する。
「『翡翠』様……ですか?」
プリカがおいらを見て呟いている。
「え、誰?」
「我々の『神格』」
カーナが呟くように答えた。
「名も無き神格は殖民した惑星の名を纏うことによって、
……え、どういうこと?
ファナ艦長がおいらを見て、低い、平板な声でおいらに問うた。
「見えたのは、どういう惑星です?」
「どうって……異様なまでの緑に覆われた惑星っす」
「!」
ファナ艦長が息を飲む。
カーナも厳しい顔だ。
「猿さんは、外道星戦の映像は観てないはずですよね」
「……ん、ああ、話は聞いたけんども映像は観てないな」
「『翡翠』様は何かおっしゃたか?」
「いや、哀しげに
地味に怖い映像だったが……なんぞあれ。いたずらでは無いよな。
「嘘も大概にしろ、余所者が!神格は上におわすがそれだけだ!」
ジンブルムが荒れる。
「嘘は言ってない」
おいらの声も硬くなるが、見えたのはおいらだけなようなので強気には出れない。
おいら自身も幻覚と言われれば否定できない。
「最初の勇者様は大樹神によって呼ばれたと言われておる、そして呼ばれた大樹神との繋がりが深かったとも……『翡翠』様によって呼ばれた勇者様が『翡翠』様から何か見せられたとしても不思議はない」
ダダ爺が浮ついた感じで何か変なことを言い出した。
「ダダ爺、それ物語の話!」
「いえ、考古学術でもー。その可能性はむしろ肯定派が主流ですねー」
そ、そうなんか。
「『翡翠』様は慈愛の神格ですー。それは皆も感じることでしょう」
ジンブルム以外の皆が頷く。
ファナ艦長が皆を厳しい目で見渡す。皆が居ずまいを正す。
どうやら会議の結論を言うようだ。
「救助活動を最優先ー。敵への強行偵察は鹵獲される、及び殲滅戦の火蓋を落しかねないのでしない。楽園本星へ出来うる限りの敵の情報を持って帰還ということをもって一旦の決定と致しますー」
ジンブルム以外の皆が了承の頷きを返す。
ジンブルムが何か言いかけたが、王女も
会議はお開きとなり、ジンブルムはおいらを軽く睨むと部下とともに大股で去って行った。
他はゆるりと帰ろうかと言う感じ。ダダ爺と、ケヒー研究室長は飲みに行くかな会話している。
飲み屋あるんだな。街みたいな艦だし当たり前か。
と、前横の椅子に座っていた、かなり小柄な女がぱちっと目を開け、大あくびをして体を伸ばす。出るところは出てるので大人なのだろう……いや、このやさぐれた感じは確実に大人だ。
緑色がかった銀色の髪を後ろで纏め、頭には豪華な装飾の鉢巻をしている。
大きな緑の瞳の目の下の隈が印象的。年齢不詳な感じだ。
「あらー、ルム兵站長。やっと起きたのー」
「わーしら兵站は作戦に沿って動くだけだかんね」
補給というか兵站は必要ないけど、分配やら生産の割り振りで兵站の概念はあるらしい。
頭をがりがりと掻くルム兵站長とやら。
「意見しても良いんだぞ」
ファナ艦長とカーナが問いかける。
「んー」
しばらく、がりがり頭を掻くとぴたりと止める。
「救助する人間が増えると、
「居住用の岩窟を作るつもりだったんですけどー」
「岩窟内に世界樹の苗木を一から育てるのは時間が掛かるかんね。あと人数的に鉱山窟辺りの世界樹の苗木を運び込んだとしても小さすぎるんね」
「でもやるしかないだろう」
「岩窟ならあるだろ、来た時の奴」
「ああ、あれかー。記念碑を動かすのか。考えもつかなかった」
「手ぇ入れて、元に戻すのも維持管理もきついけどしゃあないかんね」
「あのー、岩窟ってなんです?」
「我々がここへ来る時にー、住んでいた居住用小惑星…かなー」
「へぇーそりゃ凄い、何で使わないんです?」
皆が目を合わす。
「元気過ぎて、突き抜けて色々大変だかんね」
「どゆこと?」
「観てのお楽しみということにしておこう。猿には面白いかもしれない」
カーナが苦笑い。
プリカ達の方を見ると、皆納得の表情。
「確かに猿さんには面白いかもしれません。お楽しみに」
テルルとバリガもそうかもなーとか言ってる。
「なんだよ、期待してまうじゃないか」
「まぁ、そこまで期待されても困るんだけどよ、面白いぜ」
とグダグダ会話していると、
「ま、そんなことはどーでも良い。猿、『翡翠』様に挨拶にでも行くか! 知らなかったみたいだし」
「カーナさん済みません。教えておくべきでした」
プリカがカーナに謝るが、カーナは手をふる。
「我々には常識すぎて教え忘れるとかありがちさ。わたしも敵と接触することになったら気をつける。良い教訓になった」
確かに、常識過ぎて相手が理解できないことに気づかないとかありそうではある。
さすがカーナ。プリカの失点からも学ぶ。凄い。
「ほら、気持ち悪い目でわたしを見てないで、行くぞ、皆も来るか?」
気持ち悪いとか酷いっす。衝撃を受けて固まるおいら。
バリガがそりゃそうだろうな顔で笑っている。
「「行きます」」
「俺も行こうだがよ」
プリカとテルル、バリガも来るようだ、皆ノリが良いなぁ。
そう思いつつ、兄貴と仲間を思い出すおいらだった。
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