魔道星戦-星間戦争にパシリ三下が召喚されて勇者とか呼ばれてもマジ困るんよ。でも超強美少女に可愛い魔女、小悪魔性格の竜に囲まれちょい嬉しい
12話 救・出・作・戦! 竜の骸へ突撃艦で突撃ぃぃぃぃ! 減速なんてしやしねぇ
12話 救・出・作・戦! 竜の骸へ突撃艦で突撃ぃぃぃぃ! 減速なんてしやしねぇ
皆が嗚咽する中カーナだけは悲しそうだが泣いてない。指揮官は弱みはみせてはならないのだ。心の中は悲しみに満ちてたのは伝わってるっすけどね。
カーナがまた話す。
「dぬえp」
意味は『危険』。その後の会話で
『惑星』『超危険』『救助』『おいらの命の危険あり』『魔力必要』
文章はまだ無理なようなので単語の羅列だが意味はわかる。
生存者が居るが灼熱のマグマととてつもない暴風の状況下、防護障壁に多大な
エネルギーが必要。
電池というかタンクというかそういう物を取り付けたが消費量に不安があり、魔力量がクソ多いらしいおいらの助力が欲しいが、生きて戻れるか判らない。そんな感じ。
カーナはおいらに行くかどうか決めさせたかったようだ。
一方、甲冑娘は無理やり連れてく気満々だったが、脳筋だし、気にしない事にする。
「ておk」 「hdう!」
カーナは言葉を発し、『救助』『行くか』という概念、及び思考がおいらにる。
「みおkhdy!(行く!)」
おいらもカーナの言葉を真似する。甲冑服の連中は大歓声を上げ、カーナが凄い
嬉しそうにおいらを見る。その顔見れただけでもいつ死んでもよいと思える笑顔。
おいらの肩を叩くと 『指揮』 『飛竜』 と言ってカーナは船を飛び出だす。
救助用の空間を確保するためだろうか、甲冑服の連中は五人だけ残り、他は船外へ。
甲冑娘は残っているので救出組か。命の危険あるのに見直したぜ。それは向こうも同じらしく、歯を見せて笑い返してきた。牙怖い。
真面目ちゃんも残ってる。
『カーナ。飛竜指揮。私。残る。補助。言葉』
喋らなくても思考するだけで意味伝わるやん。伝える時に集中してるから、真面目ちゃんの技能がカーナより高いのかもしれないけど。
真面目ちゃんは思考が明確でわかりやすい。カーナは思考情報の奔流だった。
雑とも言う。
この子も危険な場所行く判断したんだよなぁ。芯はつよい人なんだろうか
おいらは危険だから行くのは止せとかヤボな事は言わない。
真面目ちゃんは後ろにある似たような席に着くと保護ベルトを体に装着しながら
思い出したように自分を指差し、
「プリカ」
といって恥ずかしそうに笑う。
真面目ちゃんの名前はプリカらしい。
おいらは自分を指差して、兄貴と仲間達の中での名を名乗る。
「猿」
甲冑娘が自分を指差しながら横から割り込んで来た。
喧嘩したのに友好的なのは命がけの救出組に志願したからか。
「テルル」
ついでに他の妙にごつい体格の甲冑兵のおっさん達も名乗る。覚え切れねぇよ。
甲冑兵達は名乗りながら中央の柱に巻き上げられ、今は船底になっている船壁と平行になる。
おいら達の席は回転する籠に入っているので加速時には同じ方向になるのだう。
目の前の小さな丸窓から、飛竜に乗り飛び立つカーナ達が見える。
他に、四体ほど歴戦っぽい感じの竜に騎乗した部下がついていく。
大木の並び立つ樹林から飛び立つが如しだけど、竜の中なんだよなぁここ。
後ろ向いて、小窓から飛竜達を指して、プリカに呼称を聞く。
プリカの真似して、集中して飛竜を見て『何?』『呼び方』と聞くと、プリカは驚いた感じでびくっとするが、意味を思考の中で固め、こっちを見て今度は言葉を喋りながら送ってくる。
「○×▲○」
意味は『飛竜』『騎乗』『兵隊』 その他の雑多な感じは『貴重』な兵種。
んじゃ『飛竜騎士』ってことか。そう考えると大体合っているのかプリカはにっこり笑って頷く。可愛いい。
と、プリカが耳まで真っ赤になる。白い肌に赤が映える。
……ん?これ思考がかなり伝わるの?
言葉とともに『肯定』の思考が流れてくる。
「マジかーーー」
これは洒落にならん、皆が引いてた訳だ。
プリカは頷くと何か言う。
『言語』『習得』
言葉を出して、意味を覚えさせるのが本来の使い方なのか?
言葉とともに『肯定』の思考。
なんにしろこれならば、言葉はわからんでも大雑把な意思疎通は可能か。便利だなぁ魔法。
プリカは色々聞きたい感じだったが、船が振動し、動き始める。
一旦動き始めると動きは滑らかだ。推進機関ではなく、魔法で謎機動してるんだろうなぁ。
「そういやこのボロ船は何て呼ばれてるんだい?」
ボロ船の所でプリカはちょと首をかしげていたが、教えてくれた。
『突撃強襲艦』だそうだ。略称は『突撃艦』
ちなみに甲冑兵は『スケルトン重装歩兵』もしくは『岩窟族陸戦隊』
『甲冑兵』でも構わないそうだ。他にも呼称はあるようだが今度おしえますね、な思考が来る。
突撃艦は少し振動した後、急上昇、急転進、一気に加速。無茶苦茶な操船である。
船は大樹の森の如くな壁と淡く輝く障壁を抜け、竜の樹状居住区画を飛び出す。
おいらもプリカにまだ聞きたい事はあったが無理だ。無茶揺れる。超揺れやがるこのボロ船。
あわあわしながら取っ手に掴まるおいら達を甲冑兵がげらげら笑う。野郎、あとでぷちのめしてやる。
突撃艦は操舵も荒っぽい。むしろそれが誇りらしいとプリカの思考が来る。
小窓から見る星の海はやっぱり綺麗だ。溶岩と噴煙に塗れた大地さえ眼下に無ければもっと美しさを堪能できたのになぁ。
『宇宙』『初めて?』
「ああ、初めてだなぁ」
プリカからは驚きの思考。まぁ連中からすればそうだろうな。
ボロ船だし、危険な救助活動だしでちょと不安なおいら。
不安を紛らわす為だろう、仲間達と軽口を叩いていた甲冑娘がこちらを見ると笑われた。
不安そうな顔を見られた。畜生!
甲冑娘……テルルだったか、おいらに何か言っている。
「通訳お願い」
『船頑丈』『竜』『雷撃』『数発』『耐える』
耐えるの数発だけかよ。あの暴風と灼熱の地獄と化した惑星で大丈夫なんか。
と、思ったが、色々増設してたし、いざという場合の発電機としておいらを搭乗させた訳だしなぁ。
思考は単純なのは伝わるが、深い思考は単語の複雑な集積でもあるので、感情というか漠然とした不安感しか伝わらないみたいで、プリカが、
『大丈夫』『多分』と送って来た。まぁ心配しても無駄だな。おいらは達観する。
気持ちの切り替えの早さに気づいたか、苦笑いするプリカ。
カーナも皆も救助を決断したんだ。無理ではない。なんとかなる……はず。
惑星、翡翠が近づいて来る。最初は軽口叩いていた甲冑兵達も口数少なくなる。
乱流と灼熱の地獄を一気に突き抜ける気だろうか突撃艦が加速する。
小窓からカーナ達飛竜も淡い障壁の光を纏いつつ、突入する感じで翼を少し畳み、惑星へ急降下して行くのが見える。
惑星『翡翠』に地獄の目のような乱流と溶岩の海が見える。超巨大な隕石孔と溶岩の海。肉眼で判るほどに荒れ狂う嵐。
その中にそそり立つものがある。おいらは絶句する。
樹のような巨竜の首だ。頭部は半分砕かれ、亜光速弾の直撃した体はなんとか原型を留めているはいるものの、ぐちゃぐちゃになり、うずまく溶岩の海に沈んでいる。
プリカが思考を送ってくる。
『
……あの大樹の巨竜の名前。
溢れて来るのかプリカの幼い頃の記憶も強烈に伝わって来る。
遥かな時を掛け星の海を旅し地上に降りた彼女は聖樹となり、荒れ果てた惑星を数百年掛けて少しづつ緑の豊かな大地に変えた。家や学び屋から見上げる、少し雪を被った山脈のような優しげなその姿。
小悪魔竜の母親か。砕かれた母を上でずっと眺めてるんだよなぁ。あいつ。
おいらの目に涙が浮かぶ。
あいらの母は余り褒められた母親ではなかったが、それでも死んだら悲しい、ましてやその遺骸が目の前とか考えられない。
小悪魔竜の名は、
『
と言うらしい。
おいらの心に触発されたのか、プリカの心にも乱れが見える。
遠くで『煉』の咆哮が船内通信から聞こえる。哀悼の吼え声なんだろうか。遠くから、おいらの哀悼の意に感謝の感情が来たような気がした。
小窓から見ると飛竜の上のカーナが厳しい顔をしているのが見える。救出作戦はやはりそう甘くはないようだ。
大気圏に突入しつつあるのか、振動が始まり、それがどんどん激しくなる。緊張した声で甲冑兵連中が会話している。テルルも緊張した顔だ。
と、激しい音とともに船が洒落にならん勢いで吹き飛ばされるように横に吹っ飛び、激流の中の木の葉の如く揺れる。
「うぇぇぇ!」
悲鳴を上げるおいら。基本びびりなのはバレたくないのに!バレたくないのに!
船体が激しく揺れ捲くり、保護ベルトに体が喰い込む。
惑星に渦巻く超暴風と粉塵の嵐は半端なく突撃艦を揺さぶり、構造材からヤバそうな音が止め処なく流れてくる。
甲冑兵達の歯を食いしばるような声が船内に交錯する。
テルルは船が激しく揺さぶられ、振り回されるたびに可愛い悲鳴。おいらと同じだな。
プリカは小さく悲鳴を上げたあと、振動に体を激しく揺らしながらも、じっと耐えている。……強い。
小窓から見えるのは、激流のように動く黒い乱雲。極限の暴風に遠くに淡く輝く防護壁に守られた飛竜達がもみくちゃにされてるのが見える。
カーナの飛竜だけは、姿勢もほとんど変えず、鋭く大気を貫いて降下している。
永遠に思われる振動の中、惑星を駆け回る暴風雨のわずかの切れ間から、溶岩の海の中にある
……あそこに生存者がいるらしい。
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