第1話 目覚
ふと、意識が戻り目を開ける。
異世界であって欲しい。
そんな夢を神は叶えてくれたのだろう
そこにはいかにもって格好の王様とローブ姿の恰好の集団、そして魔法陣!世界の中で有数な平和の国日本でこんな格好をしているのは、某夢の国の住人か、都会のハロウィンに出現する頭の中が夢の国の陽キャだけ!
これは確実に異世界だ!
ここから私の異世界ライフが始まるんだ!
さよなら。お父さん、お母さん、あと、ついでにお兄ちゃん。私はこっちの世界で楽しく生きて行きまーーす!
そんな思いとは裏腹に、彼らは不穏な会話をし始める。
「また失敗か…。」
「そのようです。」
どういう事ことなんだろう。私はちゃんとここにいるししっかりと意識も戻っている。
まさかわたしのステータス貧弱すぎる?!くそ!稀に見る展開だ!この後、王宮を追放されひもじい思いをしながらこの国に復習するやつだ!
そんなダークファンタジー趣味じゃない!
そんなことが脳裏をよぎり、とっさに
「ちょまっ!」
そこまで出かかったとき、ある異変に気付く。
あれ?わたし浮いてない?
え、うん。確かに最近学校でもなんかクラスのみんなと距離あるなーって思ってたけど、いやそっちの『浮く』ではなくってリアルな法の、浮遊のほうの『浮く』であって、てか私別にクラスで浮いてないし!!
そんな寸劇を大声でしていてもだれも見向きもしない。
そして、もしやと思い恐る恐る下に目をやると、そこにはトラックにひかれた見るも無残な私、榎並咲の姿があった。
え。どゆこと?まさか死んだあとに召喚されたの私?まぁ、そうだよね。死んだりして異世界に行く感じのやつは普通召喚じゃなくて転生だからね。
え、王様なんでこのタイミングで召喚にしたん?しょっぱな死んじゃってるからね私。伝説始まった瞬間即終了しちゃったよ。冒険譚五七五でおさまっちゃうよ。
そんなことを考えながら呆然と周りを見渡すと一人のきれいなお姉さんと目があった。
が、すぐそらされた。
もしかしたらと思い、反対側に回り目を合わせようとするが、またそらされてしまう。
しかし、これで確信がついた。
この人私の事見えてる!!!
私は負けてたまるかという思いで目を合わせに行こうとするが彼女もそんなにも関わりたいくないのか首を左右に振る。私も負けじと彼女の目を追う。永遠と終わらないこのやり取りが徐々にスピードを増しつつ繰り返されていく。
なかなかやるな。強情なヤツめ。しかし、この子めちゃくちゃ首振るな。え、てか振りすぎじゃない?凄いことなってるけど。どんだけ嫌なの?デンプシーロールみたいになってるよ、ヘビー級王者もビックリだよ。
可愛い子にここまで嫌がられると何か特殊な趣向に目覚めてしまいそうである。
そんなこんなをしている内に話が進み王様は
「シスター、このご遺体をよろしく頼む。」
と口にし、
それに合わせ隙を見た彼女は
「分かりました!」
と嬉しそうに答え、そそくさと立ち去ってしまった。
彼女はやはりシスターだったのか。それっぽい服きてたしなぁ。
美人さんだったしおっぱいもおっきかったなぁ。
それにしても凄い速さで出ていったなぁ。
それだけ私から距離をおきたかったんだろうなぁ。
まぁ、逃がすわけがない。
私の姿が見える彼女は唯一の希望。
それに、先程のやり取りで可愛い子が嫌がってるのを見るのに快感を得るという度し難い癖に目覚めてしまったようだ。
私は、3割の希望と7割の下心を胸に彼女を追いかける事を決意したのであった。
息せぬ私に手向けの言葉を 倭文しらす @NakedISIDA
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