息せぬ私に手向けの言葉を

倭文しらす

プロローグ

異世界。それはアニメや漫画が好きな人なら誰しもが一度は行きたいと考えたことがあるものであって、当然アニメ大好きっ子であるこの私も行きたくないわけがない。


この世界に大きな不満があるわけではない。コミュニケーションも人並みにでき友達も沢山いるし、親とも不仲なわけではない。しかし、それはヲタクを隠した前提である。女の子にもそういう層が少なからずいるが皆男の子しか出てこないアイドル系のアニメの話ばかり。兄の少年誌などで知識をつけてきた私にはついていけなかったし、今のなかよしグループから抜ける勇気なんてものは到底なかった。こういつも勉強に追われ休み時間には友達の恋バナに相槌をうつ生活には嫌気がさした。



私はもっと夢があふれるファンタジーの世界で冒険がしたい!わくわくが押し寄せてきてほしい!


私もこの漫画の主人公のように異世界にいきたいものだ。なにかきっかけが生まれないだろうか。魔法の本を開いたり劇的な交通事故にあったりし



ドンっ!!!!!




体に強い衝撃と痛みが走る。


あれ?私いま轢かれた?


宙を舞う靴に、飛び散る血しぶき、そして目の前に見えるのはお決まりの凹んだトラック。



あぁ、意識が薄れていく。なんて最高なシチュエーション。これ、完全に行けるね。


異世界――――






  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る