第51話
「お邪魔します」
そう三人同人に言うと、直ぐに奈那子先輩が「どうぞ~、あがって、あがって」と迎えてくれた。
学校から結構近い場所にある奈那子先輩の家は結構大きく、外観もお洒落で綺麗だ。
どうやら奈那子先輩の両親は今は居ないらしく、リビングには俺達四人だけだ。
内装は白を基調としていて、全体的に明るい雰囲気。
「それで奈那子ちゃん、何で今日誘ってくれたの?」
「ちょっと待っててね。ほら、小春ちゃん」
奈那子先輩は小春を手招きしながら呼ぶ。
俺も翔琉と全く同じような事を思っていた。
小春に聞いても内緒と言われ教えてもらえなかったし。
それから大きなお皿を二人で持ってきて、リビングに置いてある大きなテーブルに置いた。
「うわ! 美味しそう!」
「本当に美味しそうだね」
大きなお皿の上には凄く美味しそうなフォンダンショコラが乗っている。
「私と小春ちゃんからのバレンタインチョコでーす! ささ、食べて、食べて」
そう言って奈那子先輩はフォンダンショコラにナイフを入れた。
フォンダンショコラを人数分に切り分けた後、小春が小皿に乗せて俺と翔琉に配ってくれた。
小春からバレンタインチョコを貰えるかと期待していたが、まさか奈那子先輩の家で貰えるとは思ってもいなかった。
初めてもらうバレンタインチョコに嬉しい気持ちと、小春と奈那子先輩に感謝しながら、バレンタインチョコを一口食べる。
「ど、どう……? 美味しい?」
「うん! 美味しい!」
小春が作ってくれた料理がおいしくないわけがない。
「良かった!」
「ねぇ、ねぇ。翔琉は? 美味しい?」
奈那子先輩がそう聞くと、翔琉は笑顔で「美味しい!」と言いながら食べ続ける。
「これね、小春ちゃんに教えてもらいながら作ったんだ~。ね~、小春ちゃん」
「はい。奈那子先輩と一緒に作って凄く楽しかったです」
「私もだよ~」
そう言って奈那子先輩は小春に抱き着いた。
「ちょ、ちょっと奈那子先輩!」
「良いじゃん、良いじゃ~ん。小春ちゃんには本当に感謝しかないよ~。おかげで翔琉にも美味しいって言ってもらえたし」
「そんな、私じゃなくて奈那子先輩の頑張りの成果ですよ」
俺と翔琉が食べ終えるまで、二人は同じような会話を続け、じゃれ合っていた。
可愛い二人がじゃれ合っているところを見ていると、なんだか自然と笑みが出てしまう。
「ど、どうしたの? 悠斗くん」
小春が笑顔の俺を見て疑問に思ったのかそう聞いてきた。
「いや、二人とも仲良いなぁ~って思って」
我が家に可愛い彼女がやって来た 月姫乃 映月 @Eru_ZC
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