第7話 狼狽

 翌日、愛からカラオケに二人っきりで誘われた。


 思いっきり狼狽したし、授業も上の空だった。


 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・


 放課後、カラオケでドリンクを注文しながらどうかしたときいた。


 愛はぶっちゃけると話し始めた。


 勇人の目線がうっとおしいこと。


 最近、上の空で全然、勉強に身が入ってない美夜子が心配なこと。


 そうして、ずっと勇人が好きでいいように使われている私がもどかしいこと。


 しかも、愛には大学生の彼氏がいて、みんなして狼狽してるのを靑春だ、恋だと思っているのがばからしいってことをいいだした。


 だから、明日勇人には自分からはなしをつけること。もしかしたら美夜子との元鞘に収まるかも知れないけどいいのかと聞かれた。


 うんと返事する私に優しくされたら恋だと思っている菜々はまだ本当の恋を知らないんだよと呆れたように愛はつぶやいた。


 ムカついたけど、そうじゃないかとも思う。今はまだ狼狽の恋愛ごっこで、それでも慌てふためいて色々思うし、明日からいきなり気にしないのはできないと思うから、もう少し、ごっこで悲劇のヒロイン演じながらいつか出会う恋を待ちたいって私は思った。






  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

狼狽 紗里菜 @sarina03

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ