1月10日

@KAIJIN2004

第1話 1月10日 4時間目

「痛っ」

「おーい、寝るんじゃねえぞ。今が受験に向けて一番大事な時期だからな。」


時計は真っ直ぐ上を刺し、黒板には頭が痛くなるようなたくさんの数字が書き並べられている。


そうか、今は4時間目、数学の時間。

どうやら僕は授業中に寝てしまったらしい。

今どき珍しくチョークを投げつけられて起きた僕は、ふと隣を見て思い出す。

僕には今日すべきことがある。

この隣の席で気持ちよさそうに寝ている渚に告白する。

今日、1月10日は彼女の誕生日だ。

誕生日に告白なんて我ながらキザじみてると思う。

だが、告白をなあなあで終わらせない為に特別な日に行う必要があると僕は思ったのだ。


今日こそは必ず。


「ん、んん〜」


大きく伸びをして目を覚ます彼女、あくびをしながら僕の視線に気づく。


「おふぁよお」


彼女の目がまだ寝足りないという気持ちを伝えてくる。


「何寝てんだよ、今が受験に向けて一番大事な時期だぞ。」


僕が先生に言われた言葉をそっくりぶつける。


「ふふ、寝癖つけながらそんなこといわれてもなぁ。」


サッと頭を触り確認する、寝癖はないような気がする。


「ははっ、騙された。さては拓海も寝てたなぁ?」


満面の笑みで僕を見る彼女。

不思議と、してやられた悔しさなんてものはなかった。

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