第13話 ~Hside~ ⑦このままキスしてもいいだろうか
こんなに彼女と長い時間一緒の時間を過ごせるなんて
ホントにホントに夢みたいだ。
彼女は楽しんでくれているかな。
まぁ、わかりやすい彼女だから、今見る限りは、楽しそうだけど。
いよいよだ!いよいよ、彼女を連れていくぞ!
喜んでくれるといいな。
いつか機会があれば、彼女を連れていきたいと思ってた。
「ちょっと寄りたいとこあるんだけどいい?」
「どこ行くの?」
「ついてからのお楽しみ♪」
「めっちゃ気になる~!」
なんて話をしながら、駐車場についた。
「あのさ、ちょっとあの柵を乗り越えるけど、大丈夫?」
ぼくは、柵を先に乗り越え、彼女がのぼって降りるのを支えた。
しばらく歩いて、「ここだよ!上を見てみて」
そう伝えるやいなや、彼女が大はしゃぎしていた。
「うわぁぁぁぁぁぁぁ!!!すご~~~~い!!!」
「めっちゃ、キレイ~~~~~!!!!」
そう、ここは星がめちゃめちゃキレイに見えるところ。
大学時代、つるんでた奴らとしょっちゅう来てた
結構、お気に入りの場所だ。
夜は入っちゃいけないところだけど(笑)
見つからなきゃセーフってことでいいのだ。
星を眺めるのが好き
それは僕たちに共通する部分。
性格的には、真逆な性質をもつ僕たちだけど
好むものが結構似ているから、話が合うのだ。
積極的か消極的かな違いはあれど
好きなものが似ているってのはすごく大事な根幹だと思う。
目をキラキラさせて上ばっかり見上げているので
彼女がつまづいて転びそうになり、僕にぶつかってくる。
それすらも楽しそうで見ていて微笑ましい。
また転ばないように、ぼくの洋服の腕の部分をつまみながら
思いっきり体をそらして、上を見上げている。
大丈夫かな?そう思った瞬間、彼女の態勢がくずれる。
おいおいおい!すぐに彼女の腕をつかんで引っ張った。
「はしゃぎすぎ~!」
引っ張る力が強すぎて、彼女の顔が僕の顔の前までやってきた。
「だって、めっちゃキレイなんだもん」彼女がつぶやく。
抱きしめるような態勢になったまんま時が止まる。
僕は彼女を見つめたまま
彼女も僕を見つめ返したまま
このまんまキスしてもいいだろうか。
そんなことがふと頭をよぎった。
あと数センチ。
見つめあったまま、二人の距離が近づいて
ホントに、このままいけば、もうキスができる状況だった。
でも、やっぱり彼女の反応が怖くてやめた。
そのまんま、手をつないで歩いた。
何事もなかったように、ただ
「もうホントに危なっかしいなぁ。」
そういいながら、まるで危ないから手をつないでいるように。
ホントは、彼女の反応を知りたかった。
僕が、手をずっと繋いでいても嫌がらないか、
振りほどかないか、彼女がどんな反応をするのか見たかった。
帰りながら、僕は何度も何度も
キスすればよかった…。
そう後悔しながら歩いていた。
この恋が運命に変わるまで 依織 @iori-shosetsu
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