第12話 ~Mside~ ⑥楽しい時間はあっという間

あ~…言わなきゃよかった。

うちの親に話すと、すぐに値踏みされるから嫌なのよ…。


恋人のことを話した時も

ものすごく感じが悪かった。


絶対に公務員と結婚しろって言われてるから

普通の会社員、しかも中途採用だなんて

めちゃめちゃダメ出しされまくりで

全然いい顔しないし…


今日だって、家に車を置いたまま出かけると

絶対にあれこれ聞かれるだろうと思って

先に、「職場の先輩と映画に行ってくる」って言っただけなのに

相手はどんな人なのか、そりゃもう根掘り葉掘り


馬鹿正直に答えたもんなら案の定

そんなに歳が離れてとか

バツイチとか信じられないみたいなことを

ブツブツブツブツ…"(-""-)"


ホント、言わなきゃよかった。

そうなるだろうと思ってはいたけど

ホントにそうなると不愉快極まりないわ。


あ、彼から着いたの連絡が来た。


じゃあ、行ってくるねって出ようとしたら

母親が一緒についてくる。


はぁ…絶対にどんな感じなのか見に来るつもりだわ。

もう、ホントに嫌になる。


人を条件みたいなもので差別するのやめてほしい。

彼はホントにホントにいいひとなんだから!!


彼がうちの母親に挨拶をした。

彼の人柄の良さが伝わるといいんだけど…。


とりあえず、私はそそくさと彼の車に乗った。

挨拶をおえて、彼は車を出発させた。


彼の雄弁さにホントに救われる。

母親も笑顔で見送るしかないほどに。


はぁ…

思わず深いため息が出る。


そんな私の態度を知ってか、彼は何も聞かずに

違う話題に切り替えてくれる。

ホントにありがたい。


話したくないこととか話せないことは

無理やり聞き出そうとはしない。

話したいこと話すことだけをちゃんと聞いてくれる。


だからホントに心地いい。

彼のそういうところがホントに好きだなぁ。

彼を見ながらそう感じて、ふと我に返る。



まって、そうだ!二人きりじゃん。


いや、いつも二人だけど

こんな、思いっきりデートみたいなの

意識して、言動おかしくなっちゃう(;'∀')


ダメダメダメ。

私は相手を「男」だと意識すると

変になっちゃうから、ダメダメダメ。


意識をしない。

そう、この人は、先輩であって、イイヒト。

居心地のイイヒト。


そう、今日は映画を楽しむんだ。

気の合う友人と映画に行く。

それだけのことだ。


せっかく、彼が、私のテンションをあげようと

私の不機嫌さをなおそうとしてくれてるし

映画館なんて、超久しぶり!!

だから、とにかく、今日は楽しもう♪


彼とまったくのプライベートで出かけるなんて

初めてのことなんだから、

『楽しむ』ことだけに集中しよう。



映画館につくまで、いっぱい喋った。

お互いのことをいろいろ話して

そして笑って、朝の憂鬱さなんて消えていた。


変に意識して緊張していたのもとけて

ホントに楽しくて楽しくて

あっという間に時間が過ぎた。


映画まで時間があったから、ご飯食べて

映画見て、カフェでまったり喋って

とにかく『楽しい』のひとことだった。


大口をあけてバカ笑いした。

こんなに笑い転げたのは、いつぶりだろう。


ホントにホントに楽しくてあっという間に夜になった。

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