第49話 緋糸だよⅡ。我が家に機械仕掛けの巨人が来た
朝、階下で巨人が暴れて歩き出す。
ガタッ、ドカ、ダダダッドン。
「もうー何なのよこいつ。母が怒る声がして、しばらくするとまた、
ガタッ、ドカ、ダダダッドン。再び巨人が……ではなく、これは新しく入れた洗濯機が暴れる音なのだ。
「返品する。買い換える」
母が火の玉のようになって怒り、説明書と保証書を読む中、昨夜父と酒を飲み泊まったヨウが、スタスタと洗濯機に近寄り、洗濯槽に頭を入れて何か話しかけている。
「お前気に入られてないみたいだから、俺の所に来るか」
ヨウは洗濯機の蓋を閉じ、その言葉を母に向かって言い、洗濯機のパネルにタッチする。
洗濯機は、「宜しくお願いします」とでも言うように、「ヒューン」と音を立てて高速で回転し、脱水を始めたのだ。
「えっ。何なの。どういうこと」
いかにも洗濯機と意思を交換したようなヨウの演出に、母は眼を丸くして洗濯機を睨みつける。
平和な平和な朝の、我が家の巨人物語です。
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