第43話 知って損のない話1 癌
人は、人間としての生命体を築いていくために、1つの受精卵が細胞を分裂させていく。
人は皆、それぞれの細胞が分裂したり分化したり増殖したりする遺伝子を持っている。
遺伝子はたんぱく質の組み合わせでできていて、生命の誕生や維持に不可欠なものだ。
このメカニズムによって、人の身体ではいつもがん細胞が生まれている。それが発症しないのは免疫機能ががん細胞の増殖を抑えているからだ。
つまり人体の遺伝子には癌細胞の増殖を促進する遺伝子と、その増殖を抑制する遺伝子とが備わっていて、その遺伝子に傷がつくなどでバランスが崩れたとき、癌の増殖が進む。
このとき、免疫が早期に増殖する癌細胞を異物と判断して死滅させれば、本格的な癌になるのを防ぐことができる。
癌のタイプを覚えた免疫は、しばらく有効に機能するが、やがて十数年のうちにKeyの形を変えた癌細胞は免疫の網をくぐり抜け、癌として発症する。
癌細胞は、自分は異物ではないという信号を発信することができるのだと、近年明らかになっている。
そして或日、我々は身体のある場所に違和感を感じ、医師の診察によってがんの告知を受け、青天の霹靂のように驚く。
だが――人は、誰しも癌を発症する可能性を持っているのだ。
ある日、 知人の女性Kと緋糸、それにトイプードルのモモと共に車で大阪に行った。
途中、緋糸がネットで検索したレストランで昼食をとり、目的のクリニックに着いたときは打ち合わせの時刻を10分過ぎていた。
Kはこれから四時間の間だ各種の検査を受けて、がんの治療方針を模索する。
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