2. 雷鳴と瞬間と

第2話あらすじ

 慌ただしかった入学式も終わり、騎士生徒会の庶務コバック・ロウは猫の足音騎士団の新団長捕獲作戦を実行する。

 その最中に新入生で伯爵令嬢の雷撃使いシェドリリス・タユー・ネルホトスと好ましからざる接触いつものお約束をしてしまう。


 シェドリリスと言い合いっているところに、ロウの幼馴染である黒髪の少女五郎八いろはが乱入。

 更には、五郎八の存在をミカレント・シミュー・ルイノーフに知られてしまい、瑞穂国との関係を問い詰められる。


 そこでロウが転移の力を持つ異能力者で、定期的に瑞穂との連絡を取っていたことが明かされる。

 当然五郎八も同様で、単身渡来出来たのは転移の異能力が扱えるからだ。


 そこまでする理由は、ロウと五郎八は許嫁の間柄であるという。

 未来の夫であるロウを追いかけて来たと爆弾発言。

 状況を混沌とさせる。


 自尊心が強いシェドリリスは、入学式前に公式試合をして名前が知られるミカレントへ対抗意識を燃やしていた。

 一方で五郎八は、思い慕うロウを理由なくけなすシェドリリスを許せない。


 修羅場のやりとりから、何故かシェドリリスと五郎八の決闘競技騒ぎへと発展してしまう。


 事の成り行きに頭を抱えるロウ。

 庶務の心労は他人事と、珍しい取組の決闘競技に学園内はにわかに騒ぎ立つ。



 その裏で、ラナノベーシ連邦王国にある危機が迫っていた。


 ロウたち猫の足音騎士団に、ある任務が言い渡された。

 王宮魔法騎士団の一つ女の髭騎士団の団長にして秘密情報統制局魔天狼の柩騎士団総司令ベックナルから、国内に武装テロ組織が侵入していることを聞かされる。


 武装テロ組織の目的は、伯爵令嬢であるシェドリリスを誘拐もしくは殺害すること。

 それを皮切りに、ラノベ国内に内紛を誘発する事である。


 これに対応すべくロウたちは魔天狼の柩騎士団として、シェドリリスを護衛することになった。

 期間は、本隊が武装テロ組織の前哨基地を破壊するまで。

 本日中には片付くとベックナルは言った。


 ラノベに侵入してきたのは三人。

 名前と顔、経歴までは抑えてある。

 復讐に逸る者、殺害を楽しむ者、忠義で動く者。

 三様の原動を持つ刺客と、猫の足音騎士団は対決する。


 しかし善戦虚しくフリエジオとランザが倒され、三人に囲まれるロウとマリネル。


 そこでマリネルは、最後の一手を切る。

 握りこぶしほどの金属球を取り出し、魔法を唱えた。


「第九階梯魔法〔黒曜騎士シュバルツリッターオディール〕」


 魔女の森に囁かれる伝説の武具を展開する魔法。

 金属球が全身ミスリル製の魔法金属鎧に変形した。


 〔黒曜騎士シュバルツリッター〕を装着したロウが、ミスリルの脇差しに魔法を付加して大剣に変える。


「お前たちが戦うのはオレじゃない。

 戦うのはオレに掛けられた


  世界最強最高の身体能力強化魔法フルエンハンスだ」


 悪逆の反乱者たちに対し、魔女の騎士が剣を構えた。



裁定の剣を以てジャッジメントその罪過を処断するデュランダル!」



  *

 ***

*****

 ***

  *



 武装テロ騒動も片付き、日常に帰ってゆく猫の足音騎士団。


 一同は五郎八の寝所をどこにするか決めかねる。


 存在が機密に抵触する五郎八を、安易に学園の女子寮に入れる訳にはいかない。


 結局マリネルの屋敷に泊まることになった。


 慣れない土地に戸惑うと思っていた五郎八は、ふんだんに和風が取り込まれたマリネルの屋敷に安心感を覚える。


 一晩泊まり、和洋折衷の屋敷を見て回る五郎八。


 その時、ある扉に紐掛けされた看板が裏返されているのを見つける。


 マリネルはちょっと抜けているところがある人だなと思いながら、紐掛け看板を表返す。


 『九郎景光の書斎』


 五郎八はマリネルに詰め寄る。

 これはどういう事か。

 どうしてロウの部屋がここにあるのか?


「このお屋敷、本当はロウの物なの。

 用意したのは王姉のお婆様なんだけど……。

 ロウが学園寮を使っている理由は、情報統制局の訓練に参加しやすくするためで……」


 そんなことより、どうして九郎様の屋敷をあなたが取り仕切っているんですか!?


「落ち着いて聞いてね。五郎八ちゃん……」


 呆然としながら、魔女の告白を聞く五郎八。


「ロウとあたしは、結婚、しているの……」



第2話

 雷鳴と瞬間と

   了

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ラナノベーシ魔法騎士学園 ―ジャッジメント・デュランダル― 石狩晴海 @akihato

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