余録:なんでも食べるオオカミ

むかしむかしのお話しです

あるところに、山より大きなオオカミがいました

オオカミは食いしん坊で、なんでも食べてしまいます

大地も、森も、河も、海も、雲も、空も、なんでも食べました


みんなは困りました

このままでは住むところがなくなってしまいます


男の人が言いました

オオカミに食べるのを止めてもらおう

男の人がオオカミに話しかけると

オオカミに食べられてしまいました


王様が言いました

オオカミをやっつけよう

たくさんの兵隊さんがオオカミと戦いましたが

兵隊さんと王様はオオカミに食べられてしまいました


こまったこまったみんなの前で

女の人が言いました

オオカミには無くならないものを食べてもらいましょう


女の人はは仲間と一緒に

オオカミの口の中に色々なものを入れます


岩が言います

わたしの根っこをお食べなさい


魚が言います

ぼくの息をお食べなさい


鳥が言います

わたしの唾をお食べなさい


どんな水よりおいしいよ


熊が言います

わたしの指をお食べなさい


猫が言います

ぼくの足音をお食べなさい


どんなお肉よりおいしいよ


最後に女の人が言いました

わたしのお髭をお食べなさい


女の人たちがオオカミの口に入れたものは

本当は食べられません

食べられないものは

いくら食べても無くなりません

こうして食いしん坊のオオカミは

今もどこかで無くならないものを食べ続けています

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