(四)(完)

 翌日、僕たちはポルトトレスの桟橋に来ていた。昨日来たイスラム商船はすでにいなくなっていた。海に落ちたイスラム商人も、船に乗って行ってしまったようだった。

 まだ夏になるのは早い季節だったが、太陽の光がまぶしく降り注いでいた。


 キラキラと光る水面を、二本マストに三角の帆をつけた船がこちらにやってきていた。ナポリから来た船だそうだ。

 ゆっくりと桟橋に近づき船が係留され渡り板が船と桟橋の間に架けられると、僕たちはすぐに船に乗り込んだ。そして父の足跡を追って、次の目的地、バレンシアへと向かった。


(了)

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ちちをさがして 筑紫榛名@次回1/19文学フリマ京都9 @HarunaTsukushi

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