第3話 困っている人発見!

「それで?私はコレからどうしたらいいの??」

毎日ランチをとっている木陰で今日もランチをしながらディアナに話しかける。

『(女神サマの好きな戦士ものは向こうから敵がドンドンやってくるものだけれどもココは現実世界よ、そんなに都合よくは行かないからね。)』

「ってか、本当にあの月の戦士が好きで仕方がないんだね女神サマ…」

そう言いたくなるのも仕方が無いと思う。だってディアナからさっき渡された変身用のコンパクトは知っている人ならひと目で分かるシロモノだから。

『(確かに、あれはもはや信者と言っていいかもしれないね)』

ディアナもさすがに思うところがあったようだ。

「ところでさ、そこまで好きなキャラに似せているけど、まさか変身シーンまでそっくりとかじゃないよね?光ったり服がほとんどレオタード状態だったりする瞬間があったり…」

そんな事になってたら目立つし恥ずかしいよ!

『(エリスごめん、そこまでは聞いてこなかったからとりあえず人目の無い所で1度試した方がいいかも。)』

ちょっと!そこ重要だから…でもわざわざ聞かないよね、とにかく試してみることは大切だと思うし、

「そうだね、仕事が早く終わりそうだから近くの森に薬草集めに行くつもりだったしその時に周りに人がいないのを確認して試してみるわ。」

時々仕事が早く終わった時は近くの森で薬草を集めて売ってお小遣い稼ぎをしているのだが、大抵は人気がないので試してみることにした。


「周り…よし!誰もいないね!」

森にやってきて周りを見渡し、耳をすませて物音がしないのを確認してからコンパクトを取り出してふと気づく。

「ねぇ、もしかして変身用の呪文とかあるの?」

よくよく考えるとあの戦士は変身の呪文を唱えていたことを思い出しディアナを見ると、

『(うん、あったりする。)』

と、申し訳なさそうな返事が返ってきてしまった。

「アレは、アニメや漫画だからいいのであって実際はちょっと痛い子じゃん!」

『(正直人前では恥ずかしいかも…)』

「はぁ、でもまぁそんなこと言っても今更変えられないだろうしとりあえずやるしかないでしょ!」

気持ちを切り替えてチャレンジ!腹を括りましょう。

『(メイクアップ、レヴォリューション と)』

さすがに例の戦士の丸パクリはしなかったけれどもなんとも安直な…


「メイクアップ、レヴォリューション!!!」

半ばやけに唱えるとコンパクトが開き中のミラーが私を映した。

その瞬間からだが軽くなったように感じオーラのようなものに包まれしばらくすると地に足が着く感覚になりコンパクトはプロテクターの留め具になっていた。


それで、どう変身したかというと、基本はセーラ服風でスカートは青っぽいミニスカートだけど膝丈黒いレギンスのような感じに皮のロングブーツ、胸元はプロテクターが付いており髪型はツインテール(笑)お団子頭じゃなかっただけよしとするのかしら?!

しかも1番のポイントは身バレ防止なのか、中世ヨーロッパ風?なイメージの仮面!!!

あまりのチグハグぶりに我ながら笑ってしまう。

「ねぇ、女神サマ的にこの世界風にしてくれたんだろうと思うけどコレってどうなんだろう。」

思わずディアナに感想を求めてしまう。

『(う、うーん。ちょっと目立つかも)』

いやいやいや、だいぶ目立つよ!まぁどうリアクションしていいのか分からなかったんだろうけどさ。

「コレってどうにか変えられることって出来るのかな?」

取り外したり着替えたりは一応出来そうだけどそれだと変身の意味もねぇ、

『(聞いたことないから… あっ、)』

話している途中で止まったかと思うとしばらくして、

『(しばらくその格好で頑張って欲しいって女神サマからの伝言が来たわ、なんでもそのうちレベルアップした時に変身もグレードアップするシステムになっているから頑張ってね。って)』

女神サマ!!、伝言出来るならその事も先に教えておいて欲しかった…それなら変身の事とか先に聞きたかったよ。

「って!女神サマ私たちのこと見てるってこと?!」

『(多分記憶の封印が解けたのに気付いて変身アイテムも使用されたから覗きに来てくださったのかも。女神サマだってずっと見ているほど暇じゃないから。)』

まぁ、たくさんの人がいる世界を管理しているなら1人ばかり見続ける訳にもいかないよね。

「なるほど…でも女神サマには悪いけどやっぱりこの変身はちょっと恥ずかしいよ。」

『(まぁ今は変えられないわけだし、身バレするよりこっちの方がいいと思うよ?それに女神サマ謹製の防具だしある意味最強だよ?。)』

あっ!そういう考え方もあるのか、と納得していると。

「いやぁー!」

遠くから女の子?の声が聞こえてきた。

『(エリス!いいえ【正義の乙女戦士 シホ】見に行きましょう!)』

そういってディアナは駆け出したけど、てか気になるから声がする方にいそくけどさ、なんなの!その恥ずかしい2つ名?的なの!

しかも戦士ネーム前世の名前だし!

「ちょっ、ディアナ待ってよ!」

思わず思考停止仕掛けたけど慌てて追いかける。

「やっと追いついた…」

『(しー!)』

物陰に隠れているディアナを見付けるとつい普通に声をかけてしまうが、静かにするように注意されてしまった。


「やめてよ!はなして!」

そこには私と同じくらいの年頃の少女が男達数人に囲まれて捕まっている。

「逃がすわけねーだろうが!おめーは見ちゃいけねぇもん見たんだからよ!」

あちゃーなんだか少女にとってはかなりピンチな状況だと思う。

しかもめんどくさそうな男たちのやばい所を見ちゃったとなれば目撃者を始末するって事なのかもしれない。

『(シホ!初戦闘よ!)』

そういってディアナは私の背中と言いたいが足を押し出したのだった。

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転生先で女神サマに月の戦士の真似事を頼まれた! 千本桜 @mio310

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