資料まとめ
その日から俺達は、三つの封筒の中身を確認し、出来るところから終わらせようという話になった。
俺の事を知っている紅音と夏楓にもお願いし、何とか捌いている。
とりあえず、物探しや子守りなど。法力が絶対に必要ない物を紅音と夏楓にお願いする事にした、んだ、けどさぁ。半分以上がそういうものなんだけど…………。だから、俺も一緒にやりました。琴平は資料まとめてくれてる。
ちなみに闇命君は、俺の肩の上で鼻ちょうちん出しながら寝てる。その綺麗に膨らんでいる鼻ちょうちん割ってやろうかくそが。
「優夏さん。こちらはもう一年以上前の内容なのですが確認しに行きますか?」
「あ、見せてもらってもいいかな」
「どうぞ」
夏楓から受け取った資料には〈
────鎌倉時代?!?!?!
あれ、違ったっけ。確か鎌倉時代だよね。やっぱりここは過去にトリップしたような感覚に陥る時があるな……。まぁ、完璧に過去に戻った訳じゃないのは分かるけどさ。一技之長という、現実ではありえない力とかが普通みたいだし。
「えっと、内容は……予言か?」
天変地異についてとか知りたかったみたい的な事が書かれてる。さっき夏楓は一年以上前と言っていたし、もう手遅れだろうな。
「これはいいんじゃないかな」
「わかりました。次は……。半年前のがありますね」
「あ、また予言をして欲しいって内容?」
またしても天変地異について、予言して欲しいという内容だ。
「優夏、こっちは一年も前だから捨ててもいいな」
「紅音待って!? 破り捨てようとしないで苛立つ気持ちはわかるけど!!!」
紅音から破り捨てられそうになった資料を奪い取り、中身を確認する。
これもまた予言依頼だ、あれ。
「琴平、予言依頼の資料見せてくれる?」
「これだ」
琴平から受け取った資料は、おそらく数十枚。二十枚くらいかな。
それをパラパラと見てみると、どれも同じような内容だった。
簡単に言えば、「次に巻き起こる災害を予言してください」という物。
「今って何年?」
「今は
琴平が資料をまとめながら答えてくれた。ありがとうございます。社会の知識があって良かった。
予言依頼が多発しているのは二年前くらいからという事だよな。一番近いのは約三ヶ月前。
〈畑が心配だから、この後に巻き起こる災害を教えて欲しい〉
というもの。そもそも、なんで災害が起きる事前提なんだろうか。
「なんで予言依頼がこんなに沢山……」
「特に変わった事などなかったはず。ただ、心配だから見てほしいと言った軽率なものだろう。気にする必要などない」
紅音はそう言うけど、やっぱり少し気になるなぁ……。
様々な占いや予言だったら別に気にしないけど、全て天変地異についてだし。
なんでそんなに災害が気になるんだ? いや、知っていたら知っていたで便利だけど、ここまでお願いしてくるかな。
「二年前といえば、
「く、くだん??」
くだん……くだん……あ、件か? なんか、災害とか。これから起こる事を予言するっていう妖。
牛の体に顔は人間。目の前にいる人の先の未来を教えてくれるってやつ。でも、生まれて数日で直ぐに死んでしまうとかなんとか……。
そんな素人的な内容しか知らないけど、そんな話が二年前に流行っていたって事?
「なんで件が流行ってたのかな」
物珍しさとか有り得そうだけど、だからって、わざわざ依頼をしてくるなんて思えない。というか、理由がわからない。
件が流行っていた時期と重なっているのも気になる。これってもう時効な気はするけど、調べても損はなさそうだな。
「件とこの依頼人達について、紅音と夏楓にお願いしてもいいかな。わかる範囲でいいんだけど調べて欲しい」
「それは問題ありませんが、何か気になる事でもあるのですか?」
「うん、なんとなくだけどね。もう手遅れかもしれないけど、調べて損は無いかなって思ったの。無理そうだったら俺が調べるから無理しなくていいよ」
そもそもこれは交換条件みたいな感じで、紅音達には一切関係ないもんなぁ。当たり前のように調べ物をお願いしようとしてしまったけど、気分を悪くしてないかな……。
恐る恐る二人を見るが、特に不機嫌と言った感じではなさそう。俺が渡した資料を二人で見ている。
「調べるのは構わない。すぐに終わらせよう」
「あ、紅音さんは調べ物ではなく荷物運びなどをお願いしたいです。ほら、本とか巻物などは重いじゃないですか。紅音さんみたいな筋肉の塊みたいな方がいないと大変で」
「貴様、それはどういう事だ」
「そのままの意味ですよ。紅音さんは頭を動かすの苦手でしょう? ですから、力仕事をお願いしようと思いまして」
「オホホホッ」と笑いながら夏楓は紅音を挑発してる?! なんでいきなり挑発を始めるんだよ。ほら、見てみなよ。紅音が大噴火五秒前みたいな顔してるよ。顔真っ赤にして怒ってるけど!?
琴平は何も見ていないかのように、机の上に置いてある資料をまとめ続けているし。これ、俺に止めろというのか?!
「いい度胸だ貴様。今もここで朽ち果てるが良い!!!」
「ストーーープ!! 拳を思いっきり振り上げないで紅音!!!」
何とか前に飛び出し喧嘩を止める事には成功。よ、良かった……。
この二人って普段からこんな感じなのかな。任せたの間違いだった感じか? 頼むから仲良くしてくれよ。
まだ睨み合っている二人を送り出し、また違う資料に手を伸ばしてみる。
偶然手に取った依頼書にも天変地異の予言依頼。何でこんなに多いんだよ、本当に。
「この依頼書って──先月だ。琴平、これ結構新しいんじゃない?」
「先月か、確かに新しい方だな。しかし、これも予言。何故こんなにも予言についての依頼ばかりが入っているんだ」
琴平も少し謎に思ったらしい。
うーーーーーーん。少しこれは意識した方がいいかもしれないな。
「天変地異と、ついでに件ついて。もっと詳しく知った方が良さそうだな」
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