眠る

 祖父の眠る病室の中で

 平然な顔する幼い自分

 いつもは泣かない父親の

 震えた声は濁りつつ


 祖父の眠る布団がある部屋で

 平然な顔して座る皆

 昨日まで泣いていた人も

 誰一人と涙を流さず黙っている


 祖父の眠る棺桶がある斎場で

 五十を超える人間が

 先日まで生きた祖父の

 人徳を表している


 祖父の眠る棺桶がある火葬場で

 最後の挨拶をする人は

 少し涙を流しているが

 その時になっても涙は流れない

 幼い少年が一人いた

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