23rdキネシス:心理的負荷を忖度し重要な情報が抜け落ちるリスクを考慮しない本末転倒

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 大カッパグランファージをサイコ螺旋蹴りでバラバラに粉砕した直後。

 影文理人かげふみりひとは中分け美人の先輩と、ズブ濡れのポニテハンマー、そして生き残った紫ジャージを念動力サイコキネシスで連れて、アンダーワールドを脱出した。

 時刻は、東の空が色変わりしているあかつきの手前。月は池の端に僅かにかかる程度だった。

 ポニテハンマーの推測が正しければ、ギリギリだったと思われる。


「ひぃ……うぉわあああああ! いぎゃぁあああああ!!」


「わぁッ……!?」


 外に出た途端、紫ジャージは奇声を上げて脱兎の如く逃げ出した。

 恐慌をきたすその声にこそ理人はビックリするが、かと言って何かする気も起きず。

 婦女子を暴行しようとした末にお寺に押し入り裏の池に落ちて別世界に行きカッパに襲われた、とか誰も信じないとは思うが、念の為に念動力サイコキネシスで財布(身分証ID)だけ没収し、後で脅しつけておこうと思う。

 事件の背後も気になることだし。


 それに、今の陰キャには紫ジャージなどに構っていられない、もっと切実な問題があった。


「ぅー……うー……帰してくらはい……もっと呑みたいのれふ」


「あによー! これからだってーのにもうオーダーおわったの!? きょうはティルドーンよぉ……」


 顔を真っ赤にして、地べたに座り込む呂律が回っていないふたり。

 河流登真昼かりゅうとうまひる先輩に、ポニテのスレッジハンマー女。

 カッパの溜池のらしき何かをしこたま飲んだお姉さん方は、理人に恨み言をぶつけていた。

 ふたり揃って足下も不確か。四つん這いで池の方に戻ろうとしている。

 その姿に陰キャは哀しくなりながら、念動力サイコキネシスの壁でそれを阻止した。


 かと思えば、お姉さんふたりが理人に絡んできた。


「うらぁーこの根暗サイキックがぁ! ジャマすっとクソオヤジのまえに殺すわよぉ!!」


「なんれすかぁなんですすめないのれすかぁ!? わたしのことはほうっておいてくらさぃよぉ! ろうせいつもぜんぶまるなげじゃないれすかぁ!!」


「ちょ……! なに? まってなんで抱き付く……!? くっつくのはやめて!!」


 どういうワケか、フード付きコートのヤツにしがみ付いて来る酔っ払いふたり。責めているつもりらしいが、カラダを擦り付けているだけの状態に。

 巨大だったり手の平サイズだったりする部分を女性に免疫の無い少年にグイグイ押し付けるのは心底やめていただきたい。


 そんな事に気を取られていたら、フード取られた。


「ぅわあ!!? ちょっと待って!!」


「んにゃー? かげふみさんれはないれすかぁー! れいぎただしいカワイイこうはいだとおもってたのにぃ……!

 おせっきょうれす! おせっきょうれすよ! おてらのこのおせっきょうをみせてあげまふ!!」


「なんじゃー!? おまえこらぁカノジョかー? つまりカノジョなのかー??

 オンナがらみでアンダーテイカーやるとかしょせんあのオヤジの弟子かー!!」


 あっさり正体バレする陰キャ超能力者。このまま酔った勢いで忘れてくれんかと割と切実に思う。

 そして、表の顔では特に面識はないが、素性を知られると物凄く面倒くさそうなポニテハンマー。

 同じアンダーテイカー同士で、オフィスに記憶処理とか頼めるんだっけ? と、理人は手段を選ばず事態の収拾を図ろうか検討をはじめていたが、


「そこにいるのは真昼か!? それに……誰でしょうな?」


 薄闇の中でかけられる何者かの誰何すいかの声に、物事が斜面のローリングストーンズ的に悪化していく予感を覚えずにはいられなかった。


 もっともそれは、理人の杞憂に終わったのだが。


               ◇


 フード付きコートの陰キャと中分け美人のお寺の、それに外国人のポニテハンマーに声をかけてきたのは、ここ河流登寺の住職さんだった。

 中年からやや歳をした、理人よりも小柄な作務衣姿の男性である。

 顔に柔和なシワを刻んだ、落ち着きのある人物に見えた。

 言うまでもなく、河流登真昼先輩の父親でもある。


 とりあえず、ということで、理人は以前にも入ったお堂に通されていた。座布団に座ってはいるが、両手には美女と美少女をぶら下げたままだ。離してくれないんだもの。


 ご住職は、本来は夜明けまで外出している予定だったとか。少し顔が赤いのは、気のせいではなさそう。

 それを、ご近所のヒトから寺が騒がしいと教えられ、夜の夜中に戻ってきたのだとか。スタングレネードとか真上で破裂したからな。


 現場を見られてしまった、ということで、理人も事情はご住職に話しておいた。

 荒唐無稽な内容だとは思うが、何せ寺のお嬢さんと裏の池に関わることでもあるし。


 そして、そのあたりの顛末を聞いた小柄な住職はというと、「ははぁ~……」とアゴを撫でながら得心顔であった。


「なるほどなるほど……。カッパの池、などとわれておりましたが、事実その通りであったとは。いや驚きましたなぁ」


「ええ……!? 裏の池、『カッパの池』、という名前だったんですか??」


 到底信じてもらえる話ではなく、さてこの後どう説明しようかと思っていた陰キャが、素っ頓狂な声を上げていた。

 まさか信じてもらえた上に、そんな背景まであったとは。


「はいはい。と、言うのもこのあたりの昔話でしてな。カッパ御殿に住む酒盛り好きのカッパの話……。

 今に伝わる童謡には、イタズラ好きのカッパを懲らしめた馬飼いの男がお詫びにと御殿に招かれ酒浸りになった、などと残されていますがな。

 ですがウチの寺には、もう少し薄暗い言い伝えが残されておりますわ…………。

 その言い伝えと、それにこの場所を後の世代に守り伝えていくのがウチの寺のお役目、とご先祖からの申し送りにはありましたが……。いやー、なんとなんと」


 短く刈り込んだ白髪頭を撫でながら、感慨深げにうなるご住職。

 陰キャも唸りたかった。


 土着の伝承や伝説がその実アンダーワールドの事を示しているのは珍しい話ではない、とは英国紳士のダンディ先生マスターから聞いてはいたが、こんな身近にも実例があるとは。

 恐らく、そのカッパ伝説も大昔の人間の体験に因り言い伝えられたモノなのだろう、と思うと歴史の真実の一部に触れたようでちょっと感動する。


 でもそれはそれとして、今は自分の両手の重みをどうにかしなければならなかった。


 寺の娘さんとハンマー持ったポニテ、ふたりはアンダー河流登寺でカッパの溜池のを誤飲してから、ご覧の有様である。

 父親の前で「おハダすべすべー」とか頬擦りされるのは心臓に悪過ぎるので本当にやめて欲しい。

 そんな羞恥プレイに耐えながら、つとめて冷静にお姉さん方の状態について説明する美肌陰キャ。

 格好はアレだが、身体にとって深刻な状態ではないのか、と理人はそれなりに焦っていた。


 するとご住職、美女をはべらせたどこの馬の骨に怒るでもなく、スタスタと娘の後ろまで歩いてくると、


「まったく普段からこれくらい素直なら良いものを。ほれ真昼、しっかりしなさい」


 そうして、軽く背中をポンポンポン、と。


 理人には、3回叩いただけに見えた。

 しかし直後に、中分けの和風美人さんは、顔から赤みを消しキョトンとした顔になる。

 それから、自分が抱き付いている後輩の男の子を見て、悲鳴より先にその相手を突き飛ばした。


「ひやぁああああ!? な、なぜ影文さんが!? え? ちょっと待ってください!? え!? ウソ!!!!」


 陰キャ超能力者には、この未来が見えていた。

 でも甘んじて突き飛ばされた。

 倒れた理人を、一緒に倒れたポニテのハンマー姉さんが脚と巨乳で捕まえヘッドロックで締め上げる。助けて。


 慌てふためく先輩には、どうやら酩酊してた際の記憶があるらしい。

 実家で暴漢に襲われ、裏の池に落ちて、カッパに襲われ、煮込みにされて喰われそうになり、超能力を使う陰キャの後輩に助けられたら、こうもなるだろう。


「これも言い伝えの通りですなぁ……。カッパの酒で酔っ払ったら、誰かが3回叩いてやればすぐさま酔いが醒める。

 はいはい外国のお嬢さんも。起きてくださいな。もう看板ですよ」


 住職ジョークと共に、金ポニテの女も肩を3回叩かれた。

 一瞬で我に返る女は、その体勢のまま暫し状況の把握につとめると、自分の上にいた黒コートを脚で跳ね飛ばす。

 理人は踏んだり蹴ったりだった。大カッパ相手にさえ一撃ももらわなかったのに。


「ったく……。アンダーワールドのモノを口にするなんて、最悪ね。

 他に後遺症についての言い伝えは? 肉体の変化や、死後の異常は??」


 何事もなかったかのように、スッと立ち上がる金ポニテ。

 ほぼ初対面の住職に対しても、今まで会話していたかのように質問をぶつける。

 暴力的ではあるが、理人はそれが確かにベテランのアンダーテイカーに見えた。


              ◇


 家に帰ると、そこには理人の超能力の先生マスター、エリオット・ドレイヴンがいた。

 ロマンスグレーの髪を綺麗に後ろに纏めた、二枚目イケメンダンディの英国紳士である。

 別に家主の不在に勝手に上がり込んでいたワケではない。

 いつでもいらしてください、と理人が言っておいたのだ。その為の、お高めの分譲住宅でもあるし。

 実際に先生マスターが来たのは、これがはじめてであるが。


「すまないリヒター、お邪魔しているよ。良い住まいだ」


「いえそんな先生マスター。部屋もあるのでいつでも休みに来てください。

 何かお飲みになりますか? 一応お酒もありますが」


「いや……それより、大変なことがあったようだな。その、アンダーワールドか」


 ソファにゆったりと座りながらそう切り出すダンディ先生マスターに、少し驚く陰キャ生徒。

 とはいえ、先生マスター理人リヒターと同じく遠隔視リモートサイト超能力スキル持ちだ。

 それ以外にも、知る方法はいくらでもあるのだろう、とそれ以上は気にしなかった。


 理人としても、先生マスターには報告しなければならない事があったので。


 長い時を経て明らかにされた、鎌倉と湘南の境にある隠れた古刹、河流登寺の裏世界アンダーワールド

 その入り口である裏手の池は、文献によると満月の晩ならだいたいアンダーワールドと繋がるらしい。

 ただ、池に対する月の角度で、通路・・の確度も変わるとか。

 また、空を飛ぶ手段を持つ者しか出入りできないだろう、ということで、今すぐにカッパが表の世界に出て来るようなこともなさそうだった。

 ご住職は、おいおい池の封鎖を考えるとか。


 だが、埋め立てるのもマズかろう、というのが新米陰キャアンダーテイカーと、ベテランらしきポニテハンマーの共通する意見である。

 長い歴史のあるアンダー河流登寺は安定したアンダーワールドと見たが、ヘタに物理的な封じ込めを行うと、内側から破裂するオーバーフローを引き起こしかねない。

 よって、取り敢えず頑丈な鉄柵による出入りの制限を行い、池自体は開放したままにする事とした。


 実家の秘密に触れ、アンダーワールドと理人の正体を知った河流登寺のお嬢さん、真昼先輩だが、だからと言って特に何をする気もないとのお話。

 自分の足下に、裏の世界が広がっている、などと言われても、普通の人間には手に余るのだ。

 自分は将来婿養子を貰うなりして、この寺の伝統と秘密を守り続けるだけでいい。

 立て続けに2度助けられた件では、理人に感謝していた。


 なお、河流登先輩を襲った男どもに関しては、これから調査するつもりだ。


 そして、陰キャ的に最大の問題となるのが、あのベガスからアンダー河流登寺まで強引に付いて来た、金髪ポニテのハンマー美女だ。

 何を思ったのかこのハンマー女、当面の安全対策が終わるまで、河流登寺の監視を引き受けていた。

 また、地権者の住職にはお断りされたものの、アンダーテイカーオフィスにアンダーワールドを移管するよう薦め、自分が仲介しても良いとまで言っている。

 あれ? もしかしてこのヒト結構面倒見いい??

 そんな事を思った陰キャであるが、日本滞在は理人の監視の為でもある、との厳しめなお言葉をいただいていた。


 そうなのだ、河流登先輩とその父上ばかりか、何やら厄介そうなバイオレンスハンマーにまで、理人は自分の素性を知られてしまっている。

 その真の標的は、理人の人生の先生であるエリオット・ドレイヴン、アンダーテイカー『マスターマインド』だ。


 理人は、自分の不手際でこのヒトの足を引っ張るのだけは、死んでも御免だった。


「何が目的かは知りませんが、物凄く攻撃的な性格で手も早いです。先生マスターが負けるとは思いませんけど…………あのデタラメな馬鹿力は普通じゃありません。

 オレも2度狙われましたし、かなり先生マスターを敵視している様子でした。放っておくとどんな手段に出るか…………。

 正直、普通の人間に超能力マインドスキルを使うのはあまり気分も良くありませんけがー……一度強引に拘束してでも話を聞いてみるべきですか?」


 この恩師の為ならやったるぞ、と忠実な教え子の顔で、正面から意見を窺う陰キャ。

 ダンディ先生の方は、目頭を押さえて心底沈痛な面持ちだった。

 もしかして、知り合いだったりするのだろうか。

 その様子から、理人がそんな可能性に思い至ると、


「リヒター……キミには本当に……本当に、迷惑をかけた。

 娘が・・したことは、仮にも父親として申し訳なく思う」


 という先生マスターのセリフに、生徒リヒターの方は死にそうになっていた。


「………………ぱ、大変パワフルなお嬢さまで、いらっしゃいますね」


 さっき自分なんて言ったっけ。もしかして女オークとかいう本音も漏らしただろうか。

 必死に思い出そうとするが、陰キャの脳がそれを拒否した。多分、恩師の娘さんに対して、散々なことを言ってる。

 ただ、よく分からないフォローらしきものを入れるので、精一杯な理人だった。


                ◇


 その週末、陰キャの姿は鎌倉の山奥、河流登寺の中に見られた。

 業者を呼んで、池をそっくり金網で覆う工事を行うので、その監視だ。

 なお、網目はヒトが歩ける程度の大きさで、一部開閉できるようにもなっている。

 完全には蓋をしない方針だ。


 そして、ご住職から冷たい麦茶を出され、理人とポニテハンマーはお堂の中で待機中だった。

 奥の闇と、開け広げられた入り口から差し込む明かりの、コントラストが強い空間。

 ゴンゴンギュイーンという工事の音が、少し離れた所から響いてくる。

 クーラーなどは無いが、緑に囲まれた境内の、風が入ってくるお堂の中は比較的涼しい。

 しかし日の光は、季節の変わり目を思わせる茜色が混ざっていた。


「あの……ミア、ミリアさん?」


 このまま沈黙も良くないな、と思っていた陰キャは、なけなしのコミュ力を総動員して、どうにか声をかけることができた。

 ポニテハンマー、ミリア・ドレイヴンは一度も自己紹介などしたことがない。

 ではどこから情報が漏れたかは分かり切ったことであり、金髪ポニテの美人さんは、ムスッとした顔で陰キャを睨んでいらした。

 『ミア』というのは、お父上が呼ぶ時の愛称である、らしい。


あの男・・・に聞いたのね。それで、なんて言われた? 邪魔だからイギリスに送り返せとでも??」


「いやなんも言われてないけど……。お父さんの事を聞きたいなら直接聞けば? いいんじゃないです?

 特に拒否られてもないでしょ? なんなら電話番号も教えるけど」


「『マスターマインド』が素直に本当のことを吐くと思う?

 あの男があんたにも真実を全て話していると思うのなら、考えが甘過ぎるわよ。

 弱みを握る、欲しい物で釣るなんて朝飯前、気が付いたら陰謀の片棒を担がされていた、なんて被害者は世界に何百といるんだからね。

 それと、アレ・・とは血縁があるだけの、他人よ。『父親』なんてご立派なもんじゃないわ」


 聞く前から分かってたことではあるが、親娘仲は相当よろしくないらしい。

 原因までは、理人も聞いていない。

 しかし、自分の親との関係が最悪なのは、この陰キャも同じだったりする。

 そんな自分とこの金ポニ姉さんは、明らかに違っていた。

 何が違うのだろうか、と思うと、理人の胸の中が正体不明にモヤモヤした。


「でー……先生マスターの何が知りたいんです? この前も言ったけど、オレ特に先生から何をしろとか言われてないんだよね。

 知りたいことがあるなら、オレから先生に聞いてみるけど? 答えてくれるかは分からんけど」


「…………あんたには関係ないことよ。首突っ込まないで」


「いやそれじゃ答えようがないじゃんよ……。どうしろと言うのだ」


 吐けと言われたのに「何を?」と聞くと答えない金ポニ姉さん。このヒト本当に先生の娘さん? と、ただでさえよくない目付きをジト目にする陰キャであった。


 流石に自分でも筋の通らない事を言っている、という自覚はあるのか、真正面からではなく横目でミリアも理人を睨み返す。


「……何をしろと具体的な指示を受けていないなら、あんたは何も知らされないで『マスターマインド』に利用されているクチよ。

 まだ若いし、そんな深みにもハマっていないなら、今すぐ手を切るのをお勧めするわ。それならわたしが手伝ってもいい。

 あの男に関わると、絶対にロクなことにならないわよ」


 態度こそ威圧的、あるいは威嚇する大型の猫類という感じだったが、どうやら理人を案じている本音を素直に出せないだけのようだ。

 喧嘩っ早い猛獣のようなお姉さんだが、本質的に悪いヒトではないのだろう。父親と母親、どちらに似ているのかは怖くて考えたくない陰キャだが。


 理人もアンダーコミュニティーに身を置いて、そこで先生マスターがどんな評価を得ているかは見聞きしていた。

 実の娘が何故そんな感情を持つのか、どうして教え子の陰キャを心配するのかも、それなりに推測はできる。

 だがそれでも、理人の考えは変らなかった。


「……シカゴの時にも言ったと思うけど、先生マスターと会う前のオレには悪い事しかなかったよ。

 正直、先生マスターが何を考えているのかオレには分からない。

 でも、先生マスターがオレを使って何かするなら、オレには恩を返す義理があるよ、多分ね」


 それがどんな非道なことでも、最低でも一回だけは理人はそれに従うつもりだった。

 何かするつもりなら手伝うのでいっそ教えてくれんかな、とさえ思うのだが。


「バカな子…………。なにそれ、日本の『ブシドー』?」


 美人さんに心底呆れたような顔をされるのは、青少年にはそれなりにこたえるモノがある。

 しかし、そこにけんが一切見られなくなったのは、陰キャの気のせいなのだろうか。


 一週間ほど工事は続くというので、金ポニ姉さんも陰キャも、それまでお寺に日参することになっていた。

 夕刻となり、工事も中断したので、理人もひとまず家に戻る。

 しばらくお寺で顔を合わせる事になるんだろうなぁ、と能天気なことを考えていた陰キャだったが、その後間もなく意外過ぎる場所でも遭遇する事となった。




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