第11話

 放課後になると近藤と伊藤は教室からでて帰ろうとしていたので、俺は前に立ち塞がった。

「誰だてめー」

 栗山から名だしで呼ばれたのに、俺の存在は忘れられていた。

「長野です」

「何の様だ?」

「音楽祭が近いから歌の練習を皆で使用と思って」

「歌いたい奴が歌えばいいだろう」

「いや、でも音楽祭は皆でやらないと意味が無いんじゃないのかな?」

「何で」

「クラスメイト仲良くなれるって意味で」

「別にクラスにいる奴何て興味ないわ。俺達不良だぞ」

「まぁそれでも一緒にやってみない?」

「うるせーよ」

 俺は伊藤が近藤どちらか分からない奴に胸倉を掴まれ、右頬を殴られた。

『いてー』

「これに懲りたら二度と俺達に近寄るんじゃねー」

 俺は取り合えず栗山達がいる音楽室に行く事にした。

 

「で、何であんた一人が来てるのよ?」

「無理でした」

「無理でしたってあんたね。バカな上に頼まれた仕事一つまともに出来ないんて、クズよ。クズ」

「ほらみて見ろよ。怪我してるだろ」

 俺は殴られた右頬を露骨に指を差しアピールした。

「何ともなって無いじゃない」

 まぁー確かに今は何ともなってないけど確かに殴られたし。

「とにかく、次もし連れて来なかったどうなるか分かっているでしょうね」

「どうなるの?」

「それはなってからのお楽しみよ」

 栗山は不適な笑みを浮かべ、俺は音楽室が追い出された。

 

 俺は家に帰りサンドバッグを殴っていた。

『無理だって言ってんだろあの女。人の話しいいから訊けよ。しかも何だ。伊藤か近藤どっちか分からないけど、何で殴られなくちゃいけないんだよ。あーしかもまだ右頬ヒリヒリするし。俺は大人しく陰キャ生活送りたいんだよ。連れてこなくちゃどうなるか分かってるだ。知らねーし。んな事。あーイライラする』


 次の日教室の扉を勢いおく開け近藤と伊藤がいる所へ一直線に向かった。


「何だよ?」

 伊藤が近藤相変わらずどちらかが分からないが、俺が目の前に立っているから、多少動揺している様に思えた。

「何で音楽室に来ないか理由だけ訊かせて」

「何で言わな…」

 俺は相手が全ての言葉を喋べきる前に胸倉を掴んだら、相手も俺の胸倉を掴み返した。

 俺もあいつも言葉は無くただ睨みあっている。


「そこまで」

 もう一人いた男が俺達の間に入り、片手で胸当たりを押され引き離された。

「何すんだよ近藤」

 止めに入った髪が肩位まで伸びてる奴が近藤で、俺と睨み合っていたこいつが伊藤ね。

 伊藤の方が近藤に比べガタイがよく喧嘩が強そうだ。

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これが俺の全力だ てるた @teruo0310

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