第10話
「いない」
「二日連続無断欠席とはいい度胸してるじゃない」
「あいつらって何部何だっけ?」
「二人とも部活には入ってないし、授業態度もあんたと同じでいい方じゃないわよ。いわゆる不良って奴ね」
自分のクラスにも不良がいるなんて知らんかった。
「あ、そうなんだ」
「不良がいる場所と言えば?」
いや、ふられても知らないんだけど。
「分かりません」
「あんた本当にバカね。不良がいる場所と言えばゲームセンターって決まってるじゃない」
分かっているなら俺に場所訊くなよ。
俺達二人は校舎を出て近くのゲームセンターに向かった。
「いたよ」
俺はゲームセンターに入ると2階にあるアーケードゲームを楽しんでいた。
「どこ?」
「そこに」
栗山に俺が指差した方向を見るとようやく気付いてくれた。
「さてと行きますか」 と言い栗山は一人で二人がいる場所に近寄った。
俺は一緒に行かずその場から見てる事を選んだ。
男の一人が栗山の胸倉を掴み押し返したので、栗山は床に尻もちを着いた。
あーあだから行かない方がいいんだよ。
俺は顔を堂々出し直視していたので、男の人がこちらに近寄ってきた。
俺は高速で逃げた。
『ガチャリ』
俺は陸上部顔負けのスピードで家に着いた。
「ここまで来れば大丈夫だろう」
誰もいない家で安堵の言葉をもらし、その日は眠りについた。
次の日になり学校に行くと栗山、近藤、伊藤の姿があったが勇気を振り絞り教室に入った。
近藤、伊藤は俺を見ても分からない様子だが、栗山に『こちらに来い』と言ってるかの様に顎を上下に動かしていた。
「おい、何であんたあたしを追いて逃げた?」
「怖かったから」
「あんたは男であたしは女。見ろ。あたし顔に怪我させられたんだから」
よーく凝視しないと分からないほどの擦り傷だ。
「あ、本当だ」
「今日もあの二人は来ないと思うから、ゲームセンターに行く前にあんたが止めなさい?」
「え、何で俺が」
「あたし怪我してるからよ」
「怪我って言っても「いいからあんたが行きなさい?」
「分かったよ」
やだな。
怖いな。
陰キャの俺がやる事じゃないぞ。
栗山が突然お昼の時に教壇に立った。
『今日の放課後音楽教室で歌の練習を行いますので、皆さん放課後強制で来て下さい。もし来なかったらそこにいる長野君から、きついお仕置きが待っています』
何言っちゃってんのあの女。
そんな事言ったら俺が不良達からターゲットになる事は予想付くはずなのに。
しかも俺を名だしにして指差さなくていいから。
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