男子高校生が転生したのは、かぐや姫!?

夕景あき

※頭をカラッポにしてお読みください

男子高校生がかぐや姫に転生してしまった。そんな中、噂を聞きつけた5人の貴族もどきが求婚にやってきた。男子高校生はあやふやな記憶で難題をふっかけて断ろうとしている。



かぐや「あー、その右端のあんたはアレだ、なんか石の鉢持ってこい!」



右端「石のハチ?·····もしや渋谷の石像のハチ公?」



かぐや「いやいや、なんで昔の貴族がハチ公知ってるんだよ!アレだ、『仏の御石の鉢』とか言うやつだ」



右端「ホトケの·····あー!あの、あれですね!知ってます知ってます!小さい頃遊びました!」



かぐや「ホントかよ!まあいいや次だ。その隣のお前!お前はアレだ·····なんだ、あのーなんだっけ確か、タマだ。玉とってこい!」



右隣「·····私に去勢せよと!?」



かぐや「ちげーよ!アレだ!思い出した!『蓬莱山の珠の枝』ってやつだ。それよろしく!で、真ん中のお前!お前は·····確か龍の首の·····ウロコ?·····逆鱗とかだっけ?ちょっと待て、今思い出すから。」



真ん中「誰かの逆鱗に触れればよろしいでしょうか?·····そうですね。例えば左大臣がカツラなので、目の前で『そのようなつもりは毛頭ございません』とか危ういラインの発言をしてくればよろしいでしょうか?」



かぐや「いやいや、ハゲたオッサンの逆鱗に触れてどうすんだよ!あれだ、鱗じゃねぇや!思い出した!『龍の首の五色の珠』だ!タマとってこい!」



真ん中「·····私も去勢をしろと!?」



かぐや「何、聞いてたんだ!お前の耳にはワタアメでも詰まってんのか!?『龍の首の五色の珠』だつってんだろ!·····はー疲れてきた。次だ!左端のお前だ!お前は燕の·····ヤベーまた忘れた。なんだっけ?」



左端「燕の巣でしょうか?あの高級食材の?·····食べたいのですか?」



かぐや「いや、ちげーよ。確か、燕の·····」



左端「燕の糞でしょうか?·····食べたいのですか?」



かぐや「んなわけあるか!おめーはアレだ『燕の子安貝』をとってこい!·····はーやっと最後だ!その左隣のお前は·····確かあのー、ネズミの奴だ。ネズミの皮·····ん?なんかちょっと違うか?」



左隣「ネズミ·····もしやミッキーマウスの着ぐるみ?」



かぐや「なんでそうなるんだよ!ってか昔の貴族がディズニー知ってる訳ねーだろ!アレだ『火ねずみの皮衣』って奴だ!·····はー、ようやく全員分を思い出しました!んじゃ、お前ら今、言った贈り物を持ってこれねぇ限りは結婚しねーからヨロシク!」



※※※


5人の貴族達は贈り物を用意して、またかぐや姫の屋敷に集まった。



かぐや「はいー、じゃあ右端の人から贈り物出してくださいー!」



右端「これだ。·····こら!待て!おすわり!あ、逃げるな!こら!待て!」



かぐや「いやいや!なんで柴犬?」



右端「さすがにハチ公の銅像を持ってくるのは気が引けたので····· ハチ公代わりに柴犬を連れてきた」



かぐや「いやいやいや!そもそもアンタの課題は『仏の御石の鉢』だからね!?もーいいや。次!隣のヤツ!」



右隣「私の贈り物はこれだ!まてまて·····逃げるな!」



かぐや「お前も動物かよ!で、なんでこの白猫なんだよ!どうせ、その辺の野良猫、捕まえてきたんだろ!」



右隣「何を言う!これは恐怖の一族の使い魔をさらってきたのだ!どれほど苦労したことか!」



かぐや「·····恐怖の一族の使い魔?」



右隣「ああ·····恐ろしい一族だよ。不老不死の一族で、髪の毛を操り、怪しげなボコボコ髪型や強靭な1本のみ残すヘアスタイルを好む。この使い魔もミカンの中に隠れるなどの魔術を使うから、捕まえるのに苦労した!タマという名前の白猫に心当たりがあるだろう」



かぐや「あー!サザエさんのタマね!って色々間違ってるから!サザエさんは確かに不老不死だけど!確かに不思議な髪型だけれども!そもそも君の課題は『蓬莱山の珠の枝』だからね!?タマとかハチとか·····なんで一部分しか聞いてないんだよ、この人たちは!柴犬も白猫も可愛いから受け取るけどさ。はー。·····もーいいや、次!」



真ん中「私からの贈り物はコレだ!」



かぐや「·····何コレ」



真ん中「·····左大臣のカツラだ!」



かぐや「·····っいらねぇよ!姫にオッサンのカツラをプレゼントするってどういう神経だよ!なんか臭いし!いらねぇよ!マジで!·····あ!こらタマ!ハチ!お前ら嗅ぎにくるな!·····なんで猫も犬も臭いもの嗅ぎにくるかね·····あ!こらタマ!オッサンのカツラの上に丸くなるな!」



真ん中「よしっ!私の課題は成功ですね!」



かぐや「なんでそうなるんだよ!やり切った感出すな!腹立つな!お前の課題は『龍の首の五色の珠』だよ!何一つやり切ってないからな!·····もーいいや、次!左端の奴!さっさと贈り物出せ!」



左端「こちらの布の中にあります、光り輝くものこそが、貴方様にふさわしい贈り物です」



かぐや「お!初めてまともな贈り物だ!ツヤツヤしていて、頬ずりしたくなる綺麗さだな!これが噂に聞く燕の·····」



左端「はい。こちらが姫様ご所望の、燕の糞でございます」



かぐや「うんこかよ!汚っ!素手で触っちまった!」



左端「姫様に気に入って頂けるように綺麗に磨いてまいりました。泥団子の要領です」



かぐや「なんで、うんこ磨いてるんだよ!意味分かんねーよ!もー嫌だ!この人たち·····最後のその左隣の奴もさっさと出せ!」



左隣「はい!お土産のクッキー缶だよ!」



かぐや「はー·····。まずお前はそのカチューシャの耳を取れ!夢の国を出たらオッサンがカチューシャしてたら公序良俗に反するんだよ!夢の国だけが治外法権なんだよ!」



左隣「あ!つけっぱなしだった!いっけなーい!てへぺろ!」



かぐや「で、何がどうなってクッキー缶になるんだ!お前の課題は『火ねずみの皮衣』だろうが!」



左隣「ミッキーに会いに行ってきたお土産だお!ちゃんとチョコチップ入のクッキーにしておいてあげたよ!」



かぐや「こいつが1番話が通じない·····いや、話が通じないのは全員か。はー。·····もーいい!お前ら帰れ!つーか、もういいわ!月に帰らせてもらうわ!」




おしまい


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