第39話 ピース

 そこにいたのは....


ルーインだった。


「やあクリス! よくなったんだね。うれしいよ」


「ルーイン! 来てくれてうれしいぞ。病院のこともありがとうな」


病院まで運び、入院費も工面してくれたルーインに感謝を述べた。


「ところでレオ君」


「何でしょうルーインさん?」


「君は私の手帳の中身を見たかね?」


かなり直球で聞いてきた。ということは....


「いいえ? そこの机にあったので後で届けなきゃとは思っていましたが触ってません」


「そうかそうかよかった。いやこの中には実は極秘の任務が書かれてあってだね」


ルーインは、そう冗談ぽく言ってほほ笑んだ。


「どうせ街で見つけたかわいい子でもメモしていたんだろ」


「何を言ってるんだクリス。私は領主だぞ? かわいい子を私がそのままにしておくわけないだろ?」


そんなたわいもない冗談合戦がしばらく続いた。


「ふう、笑った笑った。さて、私はこの辺で失礼することにするよ。かわいこちゃんたちが私を待っているからね」


 そういってルーインは病室を後にした。ルーインが去ったあとレオはしばらく考え込んだ。


「どうしたレオ?」


「ちょっと考えたんだけどね。僕はルーインにうそをついて写真を見たことを隠したよね」


「そうだな」


「ルーインはあえて僕たち二人の前で手帳のことを聞いたと思うんだよね。僕たちの反応を見たかったんだ。見ていたのであればどちらかがボロを出すと思ってね。だけど僕たちはまあ、バレていなければだけど口裏を合わせてうまくかわしたと思う。あの写真のことがどうしても気になったからできればばれないように調べたいからね。」


「そうだな。しかしお前はときどきおどろくようなことを考えつくな。

おれもあの写真を撮ったのは覚えているが、そのあとのことやルーインがあそこまで大事にしているのにティアナの顔が黒塗りだったことが気になる」


とそこでクリスも何か考え思い出したかのようにこういった。


「そういえば! 俺を襲ってきたあの少女も赤髪だったぞ!」


バラバラになっていたパズルのピースが少しずつつながってきている。


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Dear Dandelion, 響也 @kyoya07

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