18話 口は災いの元
*****
ろうそくの火を吹き消す。
消しちゃったら終わるんでしょ?って笑いながら。
*****
「泣かないで。」
繰り返し聞こえてくる暖かい声。
音羽は目の前に日向が座っている事に一瞬はっとした。
日向の手は優しく音羽の頬を伝う涙を一生懸命拭っていた。
音羽は自分が涙している事に気付くと、まだ完全に理解していないこの状況と感情に身動きが取れなくなっていた。
「…ごめんなさい。」
音羽は精一杯平然を装うが、突如意識を失う程の目眩が襲う。
慌てて立ち上がり、外に出ようとする音羽を支えようと日向も立ち上がった瞬間。
— 音もなく現れる一人の男。
その男は一瞬光に包まれた様に見えた。
その男の両腕は音羽を抱き抱えると、そのまま意識を失ってしまった。
「彼女の兄です。
このまま連れて帰ります。
お騒がせしてしまいました。」
男は代金をテーブルに置くと、目線を日向に向ける。
「あの…」
男が日向に話しかけようと言葉を発した瞬間、お店に人が入ってきた。
日向はドアに視線を向けて、いらっしゃいませ。と微笑むと、視線を戻した先に二人の姿は音もなく消えていた。
日向はそれに驚く事も無く、席に残された食べかけのカレーを見つめる。
「すいませーん。注文いいですか。」
奥から声がする。
日向は何事もなかったかの様にいつもの日常へと戻っていった。
Predictive dreamer-予知夢の代償-(仮) 愛 @i-am-aya
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。Predictive dreamer-予知夢の代償-(仮)の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ネクスト掲載小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます