ユメリアの変化
ナギとユメリアと呼び名を変え、ふたりはすぐにでもこの屋敷を出ていこうと考えていた。
次の日、医師とともに姿を現したゲルバルドに、ナギは切り出した。
「今までありがとうございます。俺たち、そろそろ……」
ゲルバルドは少年のことばをさえぎり、一喝した。
「お前が倒れたら、誰があの娘を守るんだ」
――まだここにとどまれと言うことか……。
「ゲルバルドさんもこう言っているんだからさ。ゆっくり治しなよ。君もまだ本調子じゃないし。出ていくなら、この子のケガもしっかり治してからのほうがいいよ」
ユメリアの指に包帯を巻き直しながら、医師が口を挟んだ。
「あれ、痛い?」
ユメリアが首を振った。
「……ごめんなさい」
その表情に、ナギは目をとめた。
――作り笑い……?
その日から、ゲルバルドの真意のほかにも、ナギには気になることが増えた。
ユメリアが、あまり笑わなくなった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます