第11話 夢を見た
愛するジェシカ、どうしている?
そちらでは食べ物に不足はしていないか?それが何より気がかりだ。
戦争は終わったが、場所によっては食糧不足はかえって酷くなりつつあると聞く。
ちなみに、こちらヒモナスは、幸か不幸か、俺が軍に所属してるおかげで、配給が優先的に回ってくるから、まったく心配いらないよ。何か不自由があったら、俺に連絡してくれ。君の家族の分くらいの食糧を送る手配は、今の俺の立場なら、いくらでもできるから。
今の任務はとても君に話せるものではないが、そのことだけには感謝しないとな。
最近、君の夢をよく見る。だいたいは、君に初めて出会ったときの戦場での記憶なんだが、たまに、時間を飛び越えて、将来の俺たちらしい夢も見るんだ。俺はヒモナスには居なくて、春の日が注ぐ、美しい君の住む星でふたり暮らしている。ジェシカ、これが正夢であるように、俺は心から望んでいるよ。
そうそう、俺たちの子どもらしき子も出てくるよ。君によく似たかわいい女の子だった。
だけど、とても幸せな夢なのに、目覚めた後は薄ら寒い気持ちにもなるんだ。
そんなときは、俺はそれを君に会えない空しさのせいと、必死に思い込んで、ベッドの中で、呼吸を整える。
そして夢の中での君の熱を、もう一回夢想する。
ジェシカ、君は俺の夢を見ることがあるか?
もし見ることがあるなら、まったく同じ光景を夢見ていることを祈る。
そして、その夢の目覚めが、君にとって幸せなものであることを、祈る。
愛しているよ、ジェシカ。
また会う日まで、元気でいてくれ。
キース
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