II章(闇の中で振る双翼—後編)_part_A
血なまぐさい夜を経て、冷たい雨がやっと上がりました。闇曇り空に、一筋の希望を伝えるような日光が、大地を照らしていた。この穏やかな光に呼び起こされたの私は、ゆっくりと目を開けた。そして瞳に映っているのは、二人のぼんやりした姿だった…
「お姉ちゃん…早く目を覚めて……ねぇ~聞こえますか、お姉ちゃん…」
「……ぁあ…マルコ……か…」
耳元で聞き慣れた声がして、まばたきをすると、だんだん視線がはっきりしてきた。それから、焦った顔をした妹と、隣にいる見知らぬ少年の姿が、目に焼き付きました――
「うんうん~そうよ、マルコだよ。お姉ちゃん…ううっ~よかった…姉ちゃんまだ生きてるなんて…本当に…よかった~°(°ˊДˋ°)°」
嬉し泣きするの妹はうなずくと、感情を抑えきれずに私に抱きしめてきた。けど…
『…まだ生きてるの…か……?!』
その言葉で思わずぼんやりした意識から目が覚めました!今この一瞬、昨夜の出来事、憎むべき連中が現れてすべてを奪い、村人と家族が殺されて、それから敵との交戦したことなどが、まるで人生の走馬灯のように、次々と脳裏に浮かんできた!
「?!ねぇマルコ、きみ本当に大丈夫か…ほら、けがはない?」
(いや…これ、どういうことなの?たしか、マルコは昨夜、わたしの目の前で死んだはず…あれは、ただの夢なのか…)
慌てた私が、妹の細い肩を両手でつかんだ瞬間、驚いた彼女は苦しそうな顔をしていた。
「…うん、マルコ平気だよ。でもあんなに強くつかまれて、ちょっと痛いよ…」
「?!あっ、ごめん!つい…」
【…どうやら、君も大丈夫なさそうだな。無事で良かった。】
慌てて手を離したとき、そばにいた少年が声をかけてきました。
「?!あ…あなたは…」
「ねぇねぇ、きのうはこのお兄さんが助けてくれたんだ。でもそのせいで、傷ができちゃった…えーと~お兄さんの名前って…(一﹏一)?」
「初めまして、僕はレオ。その…実は、ある調査任務を遂行するために、ここを通ったんです。」
「そうか……あっ、私は餃子ちゃん、この子はマルコ、私の妹だ。」
「えぇ、よろしくな。餃子ちゃん、マルコちゃん。」
「…なあ、その『調査』って一体…」
「…ぁあ~でもこの場所ではなく、少し離れた別の村なんだ。情報によると、そこの住民はなぜか次々と消えていった。事情の原因は今まだ調査している。僕たちは村民から緊急の依頼を受けて、状況を確認に向かいましたが…目的地に向かう途中で、遠くから煙が立ち上っているのが見えました。それでちょっと気になって、事情を探りに来たんですが、まさかこんな光景を…」
「?!そうだ!父さんと母さんが…」
それを聞いて心配になった私たちは、慌てて家に両親の行方を捜しに行ったところ、庭の前でやっと二人の姿を見つけました…
現場には血痕が残っていて、彼らの体にもいくつかの傷があった。それから確認してみると、お二人はすでに息を引き取っていました…
「…そんな…うっ、嘘だ……ねぇ~パパ、ママ…早く起きてよ!…ゥウウ…いやよ、こんなの…ウウワアアアぁぁ~――!!」
残酷な現実を受け入れられない妹が大泣きするその瞬間、私は悲しみにうなだれると、頭は昨日のことばかり考え、それから地面をこぶしで叩き続け、心の怒りをぶちまけました。
「父さん…母さん…ちくしょう!もし私が早くここに戻ってこられたら……くそっ!…くそっ、くそっ、くそっ!何だよあいつら!……許さない…絶対に許さないんだ――!」
「そんなのいや!これじゃ死体が一つ増えるだけなんだ!…もう、あんなことを見えたくないから…どうして……マルコは何も悪いことをしてないのに……うわぁぁぁ~――!!パパ、ママ……」
「?!えーと…お二人とも、少し落ち着いて……」
「…ほら、泣かないで、マルコ…?!くうっ――!!」
妹をなぐさめようとしたとき、背中にチクッと痛みを感じました…
「?!姉ちゃん、どうしたの?」
「…ほら、大丈夫なの、きみ…」
「ぇえ…ただあいつから逃げようとしたとき、背中を攻撃たれて、ちょっと痛かったって…チッ!あのくず……これからどうすればいいんだ……ねえ、あいつらはどうなったの、もう殺されたのか?」
「?!実は、あいつと交戦していて、急に意識を失ってしまったんだ。何があったのかよくわからないんだけど、たぶんどこかへ逃げたのかも……」
「…そうか……じゃ、そいつらの正体を知ってるのか?」
「…いや、僕もあいつと初めて会ったから、だから……ごめん、お二人のご両親を救えなかった…しかし、ただ一日で村を壊滅させるようなやつらは、決してそう簡単に倒せる相手じゃない。けど、こんなに危険な敵を、放っておくわけにはいかないんだ!いつか…必ず……」
「……もう…何も分からなかった。心はもう疲れた……ねえ、君に一つお願いしてもいい?」
落ち込んだ私はレオを見て、低い声で頼みました。
「は…はい、何かお手伝うことが…?!」
「…そこで…スコップを取って、この近くに深い穴を掘ってくれるか?私は…早くお墓を作りたくて、彼らを安らかに眠っていただきたいんだ……」
私はゆっくりと踵を返し、隅にある納屋を指さしながら、そう言ったとき、それを聞いた妹が顔色を変えて、急にイライラしてきた。
「ちょっ…お姉ちゃん、一体なにをする気なの?」
「?!いや、あの…そっ、それはね…」
「お墓を作りって…どういう意味なのよ!ねぇ、パパとママはまだ生きてるでしょ。もう~お姉ちゃんったら、ふざけるなよ、そんなこと。えへへ~…」
「?!マルコ…あなた……」
愛する妹が自分を欺いている様子を見ていると、私の心が思わず…
「…ほっ、ほら見て。彼らはお姉ちゃんの帰りを待ってる間に、疲れすぎて寝てしまったんだ。よし、マルコ今からパパとママを起こしますから、少し待っててね」
それから、妹は二人の体を激しく揺さぶって、亡くなった両親を呼び覚まそうとした。
「ちょっと!マルコ、聞いて…彼らもう…」
「ねぇ~パパ、もう朝だよ!早く起きてください。昨日の寝る前のお話、まだ聞かせてもらわないから、罰として、今日は二回話してもらいますよ!ほら、ママ、マルコまだ朝ごはん食べてなくて、お腹ぺこぺこだよ。でも今回は手伝うから、だから……早く起きて…お願い…ねぇ、お願いだよ……(╥﹏╥)」
「マルコ、やめなさい!彼らはもう…戻れないだ(๑ó﹏ò๑)…」
「嘘つき!パパとママは、絶対にマルコを見捨てるようなことはしないから!ねえ、お姉ちゃん、一緒に起こしてあげてしよ!私たちの声を聞くと、パパとママは目が覚めるかも…?!そうだ、レオお兄さんも手伝ってください、お願いですから…」
「えっ?!そ…それは……」
「マルコ、さっきの話を聞いてる?パパとママは、すでに…」
「うるさい、うるさい!!何も知らないなら黙って!今のお姉ちゃんは頭がおかしいよ。パパとママを起こすの手伝わないだけでなく、お兄さんに穴を掘らせて、暗くて冷たい土の中に押し込もうとしたなんて……どうして…こんなひどいことをするの!こんなの姉ちゃんが……大っ嫌いだ——!!(,, •`Д´•)ノ”(´っω•`。)」
『?!あれ……今のマルコは…何をしているの…』
ついに、マルコは自分の感情を抑えきれず、初めて私に思わぬ行動に出ました…
そのわずか一秒の間に、澄んだビンタ音がして、あたりが静かになりました。この混乱な状況に気づき、レオはすぐ止めに来た。
「落ち着いてください、マルコ。今はちょっとやりすぎなんだろう…ほら、早く君のお姉さんにあやまて。」
「?!おっ…お姉ちゃんごめんなさい…さっきのことって、わざとじゃないから……ウウゥゥゥ~…( •̥́ ˍ •̀ )」
その涙ぐんだ瞳を見ていると、心が折れてしまった。妹の頭をそっと撫でながら、今まで抱えていた悲しみも、目尻から…
「……うんうん~平気よ。もしそれがあなたの気持ちを和らげるなら、これくらいなんて、何でもないわ。ほら…泣きたいなら…我慢しないで…姉さんの胸で、いっぱい泣いてもいいですよ。」
「…ウウゥゥゥ~……お姉ちゃん…ごめんなさい……ウゥウウワアアアァァ~―― (つД`)・゜・。!!」
こうして、私たちは抱き合って、お互いの気持ちをなだめながら、レオが穴を掘り終えるまで、黙って両親の最後の旅に付き添っていました…
。。。。。。。。。。。。D━━
「よし、これで終わり……ではお二人共、どうか安らかに……」
「…あの…レオさん、今まで本当にありがとう。お願いばかりして、本当にごめんね。」
「?!いや、礼にはおよびません。少し役に立ててよかったな。」
「…ねぇマルコ、最後に、パパとママに言いたいことがある?」
妹は袖で顔を拭きながら、首を横に振った…
「…(。•́ωก̀。)グスン…それは、心の中で彼らに伝えたんだ。これからやるべきことは、さっき姉ちゃんが言ったように、パパとママの分まで頑張って生きていくんだよね。でもお姉ちゃん、絶対にマルコから離れないって約束してね!」
「えぇ、離れないよ。絶対に…しないよ~はい、『指切り』しよ?」
「うん!嘘ついたら、餃子を一気に千個食べさせるからね!」
「あの……ご褒美じゃないですか、それ…」
「えっ?!姉ちゃん本当に食べられるの……」
「うふふ~お二人の気持ちが少し落ち着いたようで、本当に良かった。それに……なんだか、子供の頃を思い出した…」
「子供の…頃?」
「ぁあ…実は、僕の唯一の肉親も、前の戦争で亡くなりました。その後、師匠が僕を優しく受け入れて、育ててくれたんだ。彼のおかげで、ここまでやってこられました。それに…」
【…ハアァ~ハクション――!!あの、すみません…】
(ぁあ~私たちが彼の前で同時にくしゃみをしたなんて、なんて失礼なんだろう…)
「?!そうだな。昨日の夜は雨が降って、全身が濡れていました。早く着替えて体を温めないと、風邪を引きます…」
「…だよね…じゃ、今から着替えを探しますから、うちに入ろう。」
着替えを取りに立つことにした私が、ゆっくりとドアを開け、壊れた板を移すと、普段は料理屋になっているリビングの周りには、お祝いの飾りや、ひっくり返ったケーキ、そして料理や飲み物が散らばっていました。その一瞬、私の頭に何か変な妄想のイメージが、突然浮かんできました......==============┓
「おっ?!よお~やっと帰ってきたか、姫ちゃん。遅かったなぁ!」
「お帰りなさい!さあ、早くこっちに座って。夕飯もうすぐ冷めちゃうなんだから」
「ほら、どうだ!こりゃ全部あなたの好きな料理なんだぜ!ずいぶん時間をかけて準備したぞ~」
「もう~パパとママったら…一番大事なセリフを忘れたの?」
「?!あら、そうだったわね。さあ、お二人共、準備はいい?セーノ~」
==『誕生日おめでとう~♪』、『ハッピーバースディー~♪』==
「......( ̄▽ ̄;)......」
「ちっ、ちょっと!!なによ、今の!話すタイミングだけじゃなく、言葉も違うんですから…じゃあ、もう一回するね~」
「へえ~いいんだよ、そんなこと。もう伝わったんだからいいけどさ…さて、お酒の時間だ!^^」
「ぁあ~パパずるいよ…ねぇ、マルコも飲みたい~!」
「ダメだ!…まだ子どもくせに…」
「へえ~飲みたい飲みたい…ちょっとだけ!o(>A<)o」
「一滴も無理無理~」
「…はぁ~彼らを放っておけ……?!まあ、とりあえず、お誕生日おめでとう!…あの時ね、君に出会えて、本当に良かった。これからも、ずっと一緒にね~^^」=============================┛
===【……えぇ。遅くなって、ごめんね……】===
『…父さん、母さん、ただいま……ケーキ…すごく美味しかった…』
私はゆっくりと床に落ちたケーキのそばまで近づいて、それからしゃがんで手を伸ばし、一口ケーキを味わったんだ。口の中は甘いけど、心では酸っぱさが……
「姉ちゃんやめて!もう汚れていますから、食べないでよ」
「…これらの飾り付けって……?!もしかして…」
「…ねぇ、もし昨夜の私が、間に合ってここに帰ってきて、みんなの無事を願うようなことができたら、神様は…その願いを叶えてくれるかな?」
「?!…それは……」
「…お姉ちゃん……」
?!…いや、いったい何を言ってるのか、私。このままじゃダメなんだ…
目の前の二人に自分のことを心配させないように、私は深呼吸して、もう一度気を取り直しました。
「うんうん~心配かけてごめんね、もう大丈夫ですから。さあ、二階に行こう!」
こうして、私たち三人で二階に着替えを探しに行きました。そしてこの周りの家具が荒らされていた光景を目にした瞬間、レオは驚きました…
「ひどい……まさかこんなところまで……いったい何が…?!」
「あの…レオさん。これらは見つたけしか男性の服ですが、似合うかどうか……」
「?!いや、これでいい。着替えがあれば満足だ。ありがとう!」
「べつに…とりあえず試着してみて。もし体に合わなかったら、また別の服を……ところで、さっきの労働で、きっと汗かいたでしょう。ほら、そこの部屋のお風呂は自由に使ってもいい。それじゃあ……」
「あっ?!レオ兄さん、また後ででね…」
私は妹の手を引いて、一緒に自分の部屋に戻りました。そして私たち三人は静かな雰囲気の中で、体の汚れを落とし、服に着替えました。再び部屋から出てくると、ベランダに立って憂鬱な空を眺めているレオがいました……
「あれ、レオ兄さん早い~」
「?!(振り返って」
「その服、どうやら似合っているね…それよかった。」
「あぁ~それにお風呂上がりはすっきりした。ありがとう!」
「なに、お礼なんて必要はない。むしろお礼を言うのはこっちの方だ。君が助けに来てくれなかったら、私たちは、もう……」
「?!いやいや、何を言ってるんですか?もしあのとき、マルコの協力がなければ、あんなの化け物と一人で向き合っていたら、僕自身も生きていられなかったと思う…」
その話を聞いた瞬間、頭はしばらく止まりました...
「えっ?!待って待って…ってことは、彼女が…君を助けたってこと?いや~まさか。これきっと何か間違いだよね?この子と暮らしている間、何か不思議な力を使っているなんて見たことないし、いじめられている時はいつも私の後ろに隠れているんだから、そんなことって……」
隣にいた妹も私の言葉を認めてくれました…
「うむ…ちょっと悔しいけど、でもお姉ちゃんの言う通りです…もしそんな力があれば、パパとママを守ってあげられた…なのに…」
「えぇ~?!まっ…まさか、本当に思い出せないの?ほら、きのう僕が敵と戦っている時、君が急に目を覚まして、それから伸縮自在の絹を振り回し、そのぶらさがった水晶玉で、相手を攻撃したんだ。そして……(以下略)」
「…ねえ、お姉ちゃん。レオ兄さんは今何を言ってるの?」
「う~ん、『夢の話』とか…それとも頭が傷つけられて、記憶が狂ったのかな…しかもかなりひどいけがそうに見えるけど……」
「ほら、そうじゃなくて!!」
「…?!いや待って…『絹』って……もしかして、これかな?」
妹のすぐそばに、長い半透明の絹が現れた瞬間、私はびっくりして一歩下がりました。
==【えっ…うわあ~――!!何だよ、これ!!】==
「そうだ!これだ、これ!ほら、やっぱり覚えてるでしょう……」
「うんうん~全然思い出せないよ。しかし……何というか…なんか変な感じか気がする…」
「こら、マルコ!今あなたの身にまとうこの絹、いったいどこから来たの?早く説明して!」
「うん?あぁ~これね、「知らない『お姉さん』がマルコにくれたんだ。ほら、きれいでしょう。しかも、誰にも気づかれないように隠すこともできるですよ。あとね、この両端にぶら下がっている宝玉も、彼女がくれたものだよ!」
「知らない『お姉さん』って……じゃ~あの人、今どこにいるの?彼女、誰か知ってる?」
「えーと~マルコにこの絹を渡してから、いくつかのことを説明した後、慌ただしく立ち去ってしまいました。自分の名前も教えてくれなかったし、今どこに行ったのことも…」
「そうか…じゃ~何を話しましたか?」
「う~ん…大体はこの絹と宝玉の使い方です。ほら見て、こんなこともできますよ~」
すると、妹は私たちの前で不思議な力を見せてくれました。
「なっ?!…水晶玉の色が、変わった…」
(しかもその中には、何かただならぬ力が流れているような気がした…そして、どこかで……)
「ほら、彼女はこの前こんなふうに技を使って、敵と戦ったんだ」
「…ねえ、マルコ…もしかして、本当にあなたが…」
「むむう~なんでお姉ちゃんまでもマルコを疑ってるの!ゆうべのマルコは、うとうとしてた状態で、あのお姉さんに会ってくれたんだよ。それで目を覚めたら、姉ちゃんとレオお兄さんが倒れてるのを見たんだ……他のことなんて、本当に何も知らないんだから!」
妹は口を尖らせて、私たちに説明してくれた。
「…そう…だったのか……しかし、昨日ここに戻ってきたとき、あなた確かもう息を引き取って……あれって、ただ私の気のせいなの?」
「…うん。マルコも自分が死んだかと思うんた…けど……うんん…ぁあもう~よくわかんないよ!」
「はぁ~どうやら何があったのか、君たちも……うん?!」
そのとき、私たちの会話が外からの音で途中で止まったんだ――
SOUKI Adventure 吉川 富郎 @gyzchan
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