俺様(サボテン)が女子高生を屈服させる物語。無理だと思うじゃん、…それができちゃうんだな〜

@sakusaku1105

第1話『ガハッ…ハッハッハッ〜!!遂にこの時が来てしまったようだ…』

木々の隙間から窓に差し込む暖かな光。

ピンクと白をモチーフとした可愛らしい部屋をより鮮やかに彩るその神々こうごうしい光を背に、ポツリと窓際に置かれているサボテンがありました…。


彼の名はタクチィー。

マミラリヤ科のサボテンである彼は、まんまるふわふわの体に鋭く長いトゲを覆わせています。


本人いわく、今日は彼の記念すべき世界征服への第一歩?…らしいので少し覗いてみましょう…。



”クソッ…!今日も太陽は暑すぎる。もう秋なんだからもうちょっと存在感を消せないのかよ…。これじゃ俺様のパ〜フェクトボディ〜が日焼けしちまう。”


”チクショ〜…アツイ…!覚えてろよぉ…太陽、お前も俺様が消し去ってやる!…フム…しかし、貴様はツイているぞ!今日は見逃してやる…、なぜなら、今日は俺様の機嫌がいいからな。ガハッ…ハッハッハ〜〜。”(*彼はただのサボテンです)


”遂に今日…俺様は、俺を飼わせてやっている女(*彼は育て主の事を言っています)に復讐をするのだよ!!ガッハッ…ハッハッ〜〜。”


”俺様を置く場所はテキトーだし…、土の交換はしねーし…、極め付けは二日に一回水やってくる事だ!それに大量にだ!!!!”


”この家に来てから156日目…。この時をどれだけ待ち望んだ事か…。俺様はこの日のためにこの世界に生を受けたと言っても過言ではない…!”


”見ろこの美しいシャープなトゲを…!先祖代々俺の種族のトゲは羽毛の様な細くふわふわしたトゲだが俺様は一味…いや、二味違ぁぁぁう!!”


”俺様のトゲはこんなに鋭く長くなってしまった…。これも飼わせてやってる主(*彼は育て主の事を言っています)に対する余りの殺意からだろう”


”これには流石の神も、俺にあの小娘をれと言っているに違いない!!”

(*サボテンは日焼け防止のため通常より長いトゲを所有する場合があります。決して殺意のせいではありません)


”アイツのやられた時の顔を思い浮かべるだけで笑いが止まらねーぜ!!ガッハッ…ハッハッ〜〜。”


タクチィーのトゲに関する勘違いはひとまず置いておいて、一体どんな作戦を実行するのでしょうか…少し待ってみましょう。




3時間後………


「今日も疲れたぁ〜〜」


高校から帰って来たまゆみは直ぐにベッドに飛び込みました。


”フン…!自分からられに帰って来たようだな。なんて哀れな子だ…。”


まゆみはベッドに仰向けになると携帯をいじり始めました。


”まぁ、残りの時間をせいぜい楽しく過ごすんだな…。”




30分後………


「う〜〜〜〜、課題終わらさせきゃ…」


ベッドから降り大きく背伸びをしたまゆみは、机にへと向かいました。


「ん……?あれ消しゴム…」


”やっと気付いたようだな…。待ちわびたぞ…小娘。”


「…学校持ってったけな〜〜?」


”フン…!カバンには無いよ。ここだよ…ここ!俺様の植木鉢の中だ…!!”

(*彼の独り言はまゆみには聞こえません)


「え〜〜…学校には持ってて無いと思うんだけどな〜〜」


”そう…、このピンクの消しゴムはあの小娘のお気に入り。家でしか使わない大切なこの消しゴムを俺様の下僕の一人である蜘蛛クモに運んでもらったのだよ…!え…?なんで蜘蛛クモ?……それは俺様が動くまでもないからな!!”(*彼はサボテンなので動けません)


「あ!…あった。なんでこんな所に…」


どうやらまゆみはタクチィーの植木鉢の中にお気に入りの消しゴムが入っている事に気付いたようです。


”さあ…、どうする人間!その消しゴムを取るには、俺のトゲの餌食にならなければならんぞ…!”


「タクチィ〜〜、トゲが邪魔で取れないよ〜」


まゆみは消しゴムを取り出す方法を考えますが、中々思いつきません。


”ざまぁぁーみろ、人間!!さあ、手を入れるのだ…!!”


「あ!!そうだ、手袋……。手袋♪…手袋♪」


まゆみは植木鉢に手を入れてもトゲが刺さらないように手袋を探し出しました。


「あれ…?無い?」


”ガッハッ…ハッハッ〜〜!!無駄のことを…。手袋は俺の下僕のジョン(この家の犬)によって回収済みだ…!お前は俺の手のひらの上だ…!!ガッハッ…ハッハッ〜〜!!”


「えー手袋無いじゃ〜ん」


”俺の完全勝利だ。さあ、素手で手を入れるんだ!!”


「…………!おかーさん…!」


檀(まゆみ)はしばらく考え混むと部屋から出て行きました。


”おかーさん?まさか…、アイツ俺をひっくり返したり、ひっこ抜いたりしないよな…。いや、…それは無い!おこがましいが…アイツは水を二日に一回やるくらい、俺様のことが大好きだ!”


するとまゆみがある物と共に部屋に戻って来ました。


”…何!?”


彼女の右手には菜箸が握られています。


”こ…この長い箸はなんだ。これは聞いていないぞ…。”


「ヨイしょ……」


まゆみは器用にタクチィーのトゲを避け、消しゴムを植木鉢から取り出しました。


”敗北したのか…。この俺様が……”


消しゴムを片手に檀は自分の机に戻って行きました。


”フ…フ……フハッハッハー!!まだだ…。俺様はこんな所では負けなのだよぉぉ!”


そう、実はタクチィーにはもう一つ秘策がありました。自分のトゲをアリさんに運ばせまゆみの椅子に設置したのです。


”これぞ名付けてダウァァァブルアタッッック〜〜!!一つ目の作戦に気を取られ、まんまとトゲが置かれた椅子に座ってしまうという…作戦だ!!少し大人気なかったかな…。許せ…、これは真剣勝負だからなぁ…!!ガッハッ…ハッハッ〜〜!”


「あ…。なんか椅子に付いてる。ん…?トゲか……」


彼女は椅子の異変に気付くと、付いていたトゲを全て取りゴミ箱に捨てました。


”かぁ!?気付いただと……!?俺様が負けた…だと。なぜだ…。たまたま…か…。いや…、まぐれに違い無い…。俺様が負けるわ…け”



「そうだ…!タクチィーに水あげなきゃ♪」


”これは神様のイタズラに違いない…。そうだ…!俺様が負けるわけないのだ!次はないぞ人間…!ガハッ…ハッハッぱぅ、うぃ、ぐぉ…、ブクブクブク…ブク…………。 


ジョボジョボ〜ジョボ〜〜


「いっぱい飲んで大きくなってね〜〜」


”ブクブク…ブク…、ウッ!パァ〜〜〜………はぁー………はぁー……はぁー…はぁー。死ぬかと…死ぬかと思った…。”


”はぁー…はぁー…覚えていろよ人間…。次は絶対に殺す…!!殺す…殺す……殺す…ころ…”



タクチィーは次はどんな作戦で挑むのでしょうか……。

では皆さん、次の話でお会いしましょう。さようなら〜〜!!(天の声より)

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