現在までの物語(1)

SS話 私は知りたい

「マスター、好きなお菓子とかってあります?」


私はここでアルバイトしている女子大生の今見綾香である。

ここは私のバイト先である『喫茶店 月日の薫り』

とても趣のある喫茶店である。


「好きなお菓子か……」


この好き嫌いがなさそうな人は過波去紅舞さん、この喫茶店のマスターで私の想い人である


「ないんですか?」


「あるけど……」


そう言うと、黄色い箱を取り出した。


「これ、栄養調整食品ですよね?」


「これがコーヒーに合うんだよ」


え、そうなんですか?


「あ、でも、クッキーとかビスケットは好きだぞ」


「理由は?」


「コーヒーに合うから」


ですよねー


「じゃあ、今度作ってきますね」


「楽しみに待ってるよ、その時は最高のコーヒーを淹れてやるよ」


「その言葉、忘れないでくださいね」









数日後

私のシフトの日に私は小さな紙袋を1つ持って月日の薫りに向かった。


「あれ?綾香ちゃん、その袋何が入ってるの?」


ゲッ!!

面倒な先輩に捕まってしまった。


「いや、なんでもないで……」


「あっ!クッキーはっけーん!じゃあ、早速……」


遅かった、この先輩は食い物を奪うのだけは早いんですよ。

行動は遅いのに


「そっそれは!!」


「あっ……」


先輩は何かに気がついたのと、それを理解してニマニマしている……

控えめに言って、キモイです。


「なーんだ、そういう事ねっ!!でも、そんなものであの堅物は落とせないよ!!」


そう言うと、紙袋を返してくれた。


「まあ、頑張ってね!!心のどこかで応援しておくよー」


「それ、応援する気ゼロですよね!」


思わず反射的にツッコミを切れてしまった。

バイト終わりに渡すことにしよう……

そして私は荷物をロッカーにしまった。

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