5杯目 過去変える喫茶店

ここは『喫茶店 月日の薫り』で、私はバイトの今見 綾香である。

私はこの喫茶店で働き始めて、そろそろ一ヶ月が経った。

この一ヶ月、たくさんのことがあった。

この店の裏の顔、過去変える喫茶店について知ったこと

それから、私はある人に恋をしているということです


「……」


過波 去紅舞、この喫茶店のマスターであるこの人が、私の好きな人

好きなら、正直にいえばいいのにって?

まさか、言えるわけないじゃん

だって、恥ずかしい


「……店長、そろそろ時間だから、私上がりまーす。おつかれしゃーしたー」


「春香、挨拶くらいちゃんとしなさい!!」


「えぇ〜、でも、店長はラフでいいって言ってるよ〜」


「去紅舞さん、私いつも言ってますよね、春香を甘やかしすぎないでくださいって!!」


「あ、ああ、すまない……」


「だいたいあなたは、いつもいつもいつもいつも……」


「えぇ〜、綾香、まさか嫉妬?」


「ち、違う、そ、そんなんじゃないのっ‼」


「本当かな?慌て方が怪しいぞ?


「紗希さんまで、何言いだすんですかっ⁉」


「まあでも、マスター、イケメンだからねぇ~。もしかしたら、恋人とかいるんじゃない?」


「そ、そうですよね……」


「ちょっ、何がっかりしてるのよ。まったくもう、世話が焼けるわね」


「本当に、お姉ちゃんはわかりやすくて、こんなに可愛いのに。去紅舞さん、もらってくれないかな、このチョロっ子」


「うぐっ……、っつ……」


「あーあ、春香が泣かした~」


「いやいや、諸劇の先輩ので、大ダメージでしたよ、絶対」


「いやいや、お前の追撃のせいで泣いてんだよっ‼」


「私は悪くありませんっ、絶対先輩が悪いですよっ‼」


「「綾香(お姉ちゃん)、どっちが悪いっ‼」」


「あんたら二人ともよぉぉぉぉぉ‼なにひとがちょろいとか普通に言っちゃってんの?なんでか、露骨にがっかりさせるようなこと言って、世話が焼けるとかっ‼絶対私間違えてません。二人とも悪いです。もう今日は帰ってください。」


「ちょっ、待って、綾香。話だけでも聞いてよ~」

「姉ちゃん痛いってば、そんな強く押したら、怪我す……痛っ⁉何すかして蹴ってるのさ!」

「うるさいうるさいっ‼アンタが悪いんでしょ、春香っ‼じゃあ、2人とも、お疲れ様!!」


私は無理やり2人を店から追い出した。


「良かったのか、追い出したりして?」


「だって、あの二人が帰らないとの方が出来ないじゃないですか……」


「確かにそうだな。じゃあ、そろそろ今日の客が来る頃だ」


ここは夕方の少しの時間、過去と現在を繋ぐ喫茶店に変わる。

だが、表現として繋ぐというのは間違いである。

ここは過去変える喫茶店。名前通り、過去の選択を後悔しているもの全てを救うための喫茶店なのです。


「今日は、客、来ないな……」


「そうですね、あ、約束のクッキー、作ってきましたよ。」


「おっ、ありがとう。そうだ、クッキーを食べながら少し昔話をするか。俺の過去に干渉できるようになった話とかどうだ?」


「興味があります。聞かせて下さい!!」


「じゃあ、コーヒーを入れるから、少し待ってくれ」


そういうとマスターはコーヒーを入れ始めた。

まずは、マスターの秘密のブレンド袋から、二杯分のコーヒー豆をコーヒーミールに入れ、焙煎する。

ドリップは、いつものようにコーヒーフィルターを使用して、ゆっくり、そして豊かな香りを店中に漂わせながら香りで心をリラックスさせてくれる。


「はい、お待ち同様」


「ありがとうございます」


そして、持ちやすく工夫されている持ち手、シンプルな真っ白なコーヒーカップ。

はぁ、これがしっくりくる……

そして、何よりもこの一口目に感じるコク、うまみ、そして甘味が、とても最高である。


「うん、おいしいですよ、マスター。今日も最高です」


「そりゃどうも」


「では、聞かせてください。昔の話を」


「ああ、いいだろう。でも、今回の話は少し長くなりそうだ」


「聞きますよ、どれだけ長くても、私は」


「じゃあ、語るとしよう」


そう、これは変わる前の過去の世界、つまり、パラレルワールドストーリーということだ。


「これはまだ、俺が探偵をしていたころの世界線のころだった……」


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