休憩話 過波探偵事務所

「今から話す物語は、この世に存在しない世界線、つまり俺が生み出し、壊してしまったパラレルワールドの物語だと思ってくれ」


俺はコーヒーを一口飲んだあと、そう言った。


「いや、物語だと言うよりも、ノンフィクションストーリーとでも言った方が正しいような気がする。ところで綾香、君はパラレルワールドについてどう思う?」


「私ですか!?私は、存在するんじゃないのかと思っていますよ?」


「何を根拠に?」


「だって、生きるってことは選択肢を選んでいくってことでしょ?だから、もしもこの選択肢とは逆を選んでいたらどうなるんだろうといった世界線が生まれるじゃないですか?だから、私はパラレルワールドが存在すると思う根拠です」


「なるほど、実に哲学的で美しい。でも、それは。理由は2つある。1つ目は、パラレルワールドは、俺みたいに過去に干渉できる能力者やタイムリープして来た人間がその世界線を、その世界線は、存在が消える」


「な、なるほど……、2つ目は?」


「2つ目は、そんなの簡単だ。俺たちが生きてるのはだから、に決まってるだろ? 」


「なるほど、そういう事ですか《全く意味がわかりません》」


「おいおい、本音が溢れてるぞ」


その後、俺はコーヒーをまた一口すすり、


「つまり、今から話すことは、単なる物語とでも思って聞いてくれて構わない。俺が前の世界線で何をして何が起きたから、今に戻ったのかについて……」



そう、これはノンフィクションと言っても過言ではない物語なのである












ある冬の日、俺は奇跡と出会った。

俺は交通事故にあったのである。

なぜ交通事故にあったのか、それは、猫を探していて、猫が飛び出した時に、そのままトラックに轢かれた。

まあ、普通ならここで異世界とかに転生するのが定石だが、俺の場合は違った。

なぜなら、目の前に神っぽい見た目のオッサンがいるのだから


「君は今、死と生の狭間で私と話をしている。我は時を司る神である。」


「死んだんですか、俺?」


「いや、まだ生きている。」


「じゃあ、アンタはなんで俺の前にいるんだ?」


「我はいつも勤勉なお主に奇跡を送ろうと思ってな」


?何をくれるんだよ」


「ズバリ、力じゃ」


「ほほう……」


「どうじゃ?欲しいか?」


「アンタがくれるっつーなら、貰っておくよ」


「では、目が覚めたらきっとトラックに轢かれたことなどという事実は消え去っているだろう。では、さらばだ!!」


「おい、ちゃんと力の使い方を教えろよ!!」


「大丈夫じゃ、目が覚めれば、呼吸するように力を使用できるだろう」


俺の意識は、そこで途切れてしまった。

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