休憩話 過波探偵事務所④
「三枝木刑事となにを話してたんだ?お前ら犬猿の仲だろ?」
「ああ、あの女、何か企んでやがる目をしているんだよ。本当にムカつくヤツだぜ……」
「まあまあ、落ち着けって。ほら、コーヒーブラックでよかったか?」
「あぁ、ありがとな?」
俺は、国井からホットコーヒーを受け取った。
「じゃあ、本題に入るぞ?これが、今回の捜査資料だ。どうだ、何か違和感あるか?」
「う〜ん、まあ、多少はあるな……」
俺は、コーヒーを1口啜った。
「今回の事件、人の仕業とは限らないかもしれないな」
「だよな、この切り口からして、人間なら持ち上げることすら不可能な鎌の大きさだから、うちも捜査の手詰まりさ……」
「ちなみに、似たような事件無かったか?」
「ああ、9月のあの事件か……、あの事件も結局上からもみ消されたからな……、まさか、今回の事件もその犯人と同じだと言うのか?」
「あぁ、可能性は高いだろうな、でも、この切り口何か不自然だな……」
俺は、またコーヒーを1口啜った。
「とりあえず、捜査資料を見てくれ、俺は、その間に報告書をまとめる」
「うわっ、まだ雑用押し付けられてるんだな、お前」
「新人がやりたがらないから、仕方ないだろ?」
「ははっ、それもそうか」
その会話を最後に、俺達はそれぞれの作業に集中した。
数十分後……
「……っふぅ、あ、コーヒーなくなっちまった……」
「もう一杯いるか?」
「いや、大丈夫だ。それよりも、今日は1度帰って考えることにするよ」
俺は、机に出していたメモ帳を胸ポケットにしまった。
「じゃあ、事務所まで送るよ。わかったことがあったら、連絡してくれ……」
俺は、椅子から立ち上がった。
……はずだった。
「あ、あれ……、力が入らない……」
「おい、去紅舞っ!!しっかりしろ!!まさか、コーヒーに毒でも入っていたのか?おいっ!!おいっ!!……」
あー、俺死ぬのか、こんなことになるなら、阿阪がオムライス、ちゃんと食べておくんだったな……
「……っは!?」
目を覚ますと、そこはいつもの事務所だったが、いつもと違い夕方だった。
「なんだ、ちゃんとアイツ運んでくれていたんだな……、なんか、いい匂いが……」
俺は、匂いを辿るようにキッチンへ向かった。
「あ、起きたの?もうすぐ出来るから、待ってて」
「ああ……」
俺は、椅子に座った。
「酷く疲れていたみたいね、お疲れ様です」
「あぁ、ありがとう……、こ、これはっ!!」
「阿阪特製オムライスですよ!!味わって食べてくでさい!!」
「いただきますっ!!
……はぁ、やっぱり美味い〜!!これは店で出てくるレベルだよ」
美味すぎる、このオムライスは本当に店で出てきそうだ……
「国井も食って帰ればよかったのに……」
「何言ってるの?」
「へ?」
「国井さん、今日は一度も事務所に来てないですよ?」
「……は?」
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