一杯目 失敗は成功のもと!!
ここは、『喫茶店 月日の薫り』で、俺はこの喫茶店のマスター過波 去紅舞だ。自分で言うのはなんだが、この店は、お昼時が一番繁盛するのだ。だからいつもは、バイトの子が一人入る予定なのだが、今日は風邪を引いたらしく休みで、とても忙しいのである。
「すみませ〜ん、日替わりランチ2つお願いしま〜す。」
「はい、わかりましたー!!」
「こっちまだですか〜?」
「はい、ただ今〜‼」
よし、バイトの子を増やそう。
そう決意しながら、俺はお昼時の客をなんとかさばききる事が出来た。
「ふ〜、疲れた〜」
流石に今日は金曜日だから、まだマシだったが土日祝日は、もっと忙しいからな……
「そうだ、バイトの募集出さないと……」
俺は、バイトの募集を出すために、パソコンの電源を入れたと同時に
カランコロンカラン
いつもの聞き慣れた、入店を知らせる扉を開く音が聞こえた。
「いらっしゃいませ、ランチならついさっき終わり、ました、けど……」
「オリジナルブレンドを一つお願いします」
この女、人の話を聞いていないな。まあ、いいか。この人もどうせ
「はいよ」
そして、俺は慣れた手付きでいつものようにコーヒーを入れ始めた。
「はい、お待ちどうさま」
「ありがとうございます……、美味しいです。」
「そりゃあ、良かった」
「では、早速話してもいいですか?」
「どうぞ。君は過去に何を忘れ物したのかな」
「私が忘れたものは、失敗です」
「詳しくお聞きしても?」
「はい、実は、私2週間前にある大手のコンペに参加したんです。」
なるほど、俺は相槌を打つ。
「でも、そこで取り返しのつかない大失敗をしてしまい……」
「大失敗とは?」
「その、資料は持っていってたのですが、USBフラッシュメモリだけは、忘れてしまい、プレゼンが出来なくなってしまったんです……」
「なるほど」
「たぶん、今回のコンペは二度とこないような話で、だから、私このままだとクビになってしまいそうで……」
「つまり、やり直したいというわけですね?」
「はい、SNSを見ていたら流れてきて、それで今日来てみたんです」
「なるほど、いいでしょう。あなたを過去に送り届けます。そこであなたは、失敗を回避するという事で間違いないですね?」
「はい、間違いありません」
「では、まず報酬を頂きましょう」
「お金なら、貯金から30万くらいおろしてきました」
「いえいえ、お金などいりませんよ。ですが、オリジナルブレンドの料金は払ってください。150円になります」
「はい、150円丁度です。」
「はい、確かに。では、報酬の話に戻りましょう」
「……はい」
「報酬は、あなたの寿命です。」
「寿命ですか……」
「はい。2週間前の木曜日の朝までですから、2ヶ月と1日ですね。」
「ちょっと多いような気がしますけど……」
「たぶん、俺のような人が他にいたら、今回の依頼で一年くらい取られますよ。それに、どうせいつかは死ぬんですし、過去に干渉するのですから安いものでしょ?」
「そう考えれば、安いものですね。わかりました。」
「交渉成立ですね。ではまず、そのコーヒーを飲み干してください。」
「はい……、ンッ、んっんっんっ、ふぅ〜、これでいいんですか?」
「はい、結構ですよ。では、目を閉じてください。」
「……」
「目を閉じたら、まずは、思い浮かべてください。その日の朝の、どんな様子だったか。」
「……思い浮かべました」
「では行きます!!」
バチンッ!!
俺はいつものように指を鳴らした。
そして、俺が目を開くとそこには誰もおらず、空のコーヒーカップが置いてあるだけだった。
「コンぺ、上手く行くといいですね」
そんなことを思いながら、俺は残っていたコーヒーを飲みながらバイトの求人を出していた。
2週間前 木曜日 AM06:30
私はいつもより早く目が覚めた。理由はきっと、忘れ物をしないようにするために過去に戻ってきたからだろう。
「あ、準備しないと……」
私はベッドから出て、洗面台で顔を洗い、メイクをし、コンペの会場に向かう準備を始めた。
20分後
私の身支度は終わった。
「じゃあ、次はコンペで使うものの確認……」
私はまず、鞄に資料、財布、スマホ、携帯用化粧道具、ノートPCを入れた。
「さて、行きますか」
私は鞄を持ち、玄関に向かった。
玄関を出て、エレベーターで一回に降りた頃だった。
あれ、なにか忘れてない?
「あ、USBフラッシュメモリ!!」
私は、慌てて自分の部屋に戻った。
そして、私はUSBフラッシュメモリを鞄に入れ、
「いってきます‼」
と一言言って部屋を出た。
2週間後 土曜日 PM04:30
俺の喫茶店は、午後4時以降は、酒類の提供も行っている。
なので、
「ということで、コンペ通過……おめでとーっ!!カンパーイ‼」
「「「「カンパーイ‼」」」」
とこのように、土日祝日だと飲酒目的で来る人も少なくはない。
そのため、店は一層忙しくなる。
「てかさ、よくコンペ通ったよね。」
「私も〜。」
「あんた今日の主役なんだし、もっと喜びなさいよ~!!」
「す、すみません。私もまだ実感わかなくて……」
「ま、そんなものよ。ささ、今日は私の奢りだから、じゃんじゃん食べて飲めよ〜!!」
「ごちそうさまで~す!!」
でも、店は繁盛していたほうが、潰れないから、ありがたいよな。
「彼女はきっと成功したのだろう。」
「店長〜!!サボってないで働いてくださいよ〜、人手不足なんですからっ!!」
「おお、わかってるさっ!!」
その後も俺は、バイトの子と一緒にお客様をさばき、今日も何とか営業を終わらせることができた。
_________________
(あとがき)
皆さんこんばんは、汐風 波沙です。
この作品って実は、学校の授業中の妄想で作った設定を、今のようにして出来上がった形にしたものです。
また、もうすぐ卒業なので考える時間を作っていかなきゃいけないと思うと、学生終わらせたくないな〜と思います。
ちなみに、お気に入りのコーヒー豆は、キリマンジャロです。
今後ともこの作品、そして、自分作品をよろしくお願いします!!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます