第十八話 戦闘後のお約束・スゴいのあった?
「それにしても、すさまじい強さですね、ヴェルチさん! 私、感動しちゃいました!」
「へへ、よせやいアイシア。照れるじゃないか」
アイシアの賞賛の声を、素直に受け止めるヴェルチ。彼女は「
「どうやら、キミはしょっちゅう脱衣してるようだね。人前で裸になるの、恥ずかしくない?」
「脱衣じゃなくて、
「まあまあ。おかげで助かったぜ。なんせ、
ふたりの言い合いを、シクヨロがなだめた、どうも、このふたりは性格的にあまり相性がよくないらしい(マルタンが
「そうですよ。獣人化してあんなに強くなれるんなら、もう
「そういうわけにはいかないだろ。私的には、あれでけっこう体力も消耗するしな」
「あ、そうなんですか?」
「それによ、獣人化中は攻撃力と機動力に全振りしてるから、武器や魔法も使えなくなっちまうし。先制攻撃で相手を倒しきれないと、わりとあっさりやられることもあるんだからな。なあ、ヴェルチ」
「まあ、そういうこともある……かな」
シクヨロの言葉に、目をそらすようにして答えるヴェルチ。どうやら、以前シクヨロに命を助けられたというのは、そのあたりが関係しているのかもしれない。
「それにしてもさ」
ふたたび魔法の杖・ジンジャーに足をかけてふわふわと浮遊しながら、マルタンが言った。
「この、モンスターの死体がずっと残るのって、キモいよね」
「こういうとこ、妙にリアルなんだよな『ドラファン2』は」
三体の
「……で、だれがやるんだ?」
「やるって、なにをですか?」
「そりゃもちろん、『死体漁り』に決まってるだろ」
「ええっ! なんでそんなことを?」
シクヨロの思いがけない言葉に、驚くアイシア。だが、つづけてヴェルチが言った。
「いや、そうしないと、金もアイテムも手に入らないじゃないか。そんなの、
「はあ、そうだったんですか……。そういうのって、どこからともなく自然と入手できてるものと、いままで
どうやら、アイシアがいままで参加した探索者パーティーでは、そういった役回りが彼女に任せられることは皆無だったようだ。まあアイシアの性格的に、無理もないことだろうが。
「そういうわけだ。私はさっきの
「あ、ぼくはやだよ。キモいから」
「私もイヤです。キモいですから」
そしてパーティーメンバーの視線が、一点に集まる。
「おまえら……。オレだってキモいのに」
シクヨロはため息をつきながら、キモい役割を引き受けることに渋々同意した。
「ま、
「つーかこんなの、探偵が一番やんねー仕事だろ」
「シクヨロさん、気をつけてくださいね。ひょっとしてまだ生きてて、ヴァーって襲いかかってくるかもしれませんよ?」
「うう……この真っ青な血の臭いがエグいんだよ。ヴェルチ、つぎはもうちょっとソフトに
「馬鹿言うな。そんな余裕、あるわけないだろう」
シクヨロは、荷物の中から剥ぎ取り用の大きな
「ところで、
「ああ、それはね」
アイシアの問いに、マルタンが答えた。
「
「へー、そんなのぜんぜん知りませんでした。……えっ、ということは?」
「つまり、こういうこった……よぉっ!」
覚悟を決め、シクヨロは
「うぇ〜、……キんモチわりぃ〜」
青い鮮血で染まるモンスターの腹部に腕を突っ込んで、アイテムを探るシクヨロ。泣き言をつぶやきながらも、彼はいくらかの金貨や宝石などを発見した。
「まずまずだな。さすが迷宮最下層の
「うん。どうやらこれで、今回の
「あ、私もちょっと見てもいいですか?」
「あれ? なんですかねえ、これ。……もしかして、鍵?」
数々の宝石や装飾品の中から、アイシアが拾い上げたのは一本の鍵だった。
「どうやら鍵だね。ずいぶん凝った装飾に、変わった
マルタンの言葉に、なにかを思いついたアイシア。彼女は、荷物の中から例の古文書を取り出すと、あわててページをめくりはじめた。
「なんだ? どうかしたのか、アイシア」
やがて、古文書の中からなにかを探し当てたアイシアは、その箇所を指差しながら血相を変えてこう言った。
「大変です、シクヨロさん! これ、『マカラカラムの
続く
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます